ダンス&ボーカルグループEXILEのメンバーATSUSHIさんが、会食後に判明した一酸化炭素中毒の疑いからくる体調不良のため、出演予定のライブやイベントなどの中止と延期を発表した。
その一酸化炭素中毒は、一体どういった状況で起きるのか。
発症の原因と症状について、亀有内科・呼吸器クリニックの栁澤治彦院長に聞いた。
「急性期」と「遅発性」の障害
ーー一酸化炭素中毒とは?
物が燃えると二酸化炭素ができますが、不完全燃焼だと一酸化炭素の状態になってしまいます。
それを吸い込むと体の酸素が奪われてしまうので、「急性期」と「遅発性」の2つの障害が問題になります。
急性期では頭痛やめまい、吐き気、全身のだるさなどの症状が出ます。
遅発性としては、ぼんやり眠たくなってしまうような症状や、認知障害など脳神経系の障害が出てくることがあります。

ーー体から酸素を奪うとは?
物が燃えた時に発生する二酸化炭素は、炭素に酸素が2個くっ付いた状態ですが、不完全燃焼の際に発生する「一酸化炭素」は、炭素に酸素が1個しか付いていない状態です。
それを吸い込むと、酸素を全身に運ぶヘモグロビンに一酸化炭素がくっ付いてしまい、酸素の運搬が妨げられてしまいます。
それによって体が必要とする酸素が届けられなくなってしまい、一酸化炭素中毒という状態が起こります。
頭が痛いと感じたらすぐに“換気”
ATSUSHIさんは3月中旬ごろ仕事の関係者と会食をした後、不調を感じたという。
最初の1カ月半はめまいと吐き気、頭痛がひどく、普通の生活をすることも少し大変で痛み止めの薬を飲みながら安静にしていたと自身のインスタグラムに綴っている。
会食で一酸化炭素中毒は起こり得るのか。
栁澤院長は、「気密性の高い室内で火を使う場合は、中毒になる可能性がある」と話す。

ーー食事会で一酸化炭素中毒になることは?
物が燃える際に不完全燃焼となれば、一酸化炭素中毒を起こす可能性はあるので、気密性の高い室内で火を使って焼肉や鍋をする場合は注意が必要です。
頻繁に見るものではないので、今回はたまたまいろいろな条件が重なって起きてしまったのかなと思いますが、もし焼肉などをしている際にちょっと気持ちが悪いとか頭が痛いといった症状が出たら、すぐに換気することが必要です。