記録的な猛暑が続いているが、現在ほど電化製品が普及していなかった“昭和の夏”はどんな生活だったのか。昭和100年に当たり、福井県立歴史博物館に常設されている「昭和のくらし」コーナーを訪ね、当時の様子を垣間見ることにした。
昭和30年~40年代の暮らしを再現
昭和の暮らしを体感しようと博物館を訪れたのは、平成13年生まれの福山千奈アナウンサー。

福井市にある県立歴史博物館の館内には、昭和30年代後半から40年代の町並みを再現したコーナーが設けられている。
案内してもらうのは、ぎりぎり昭和生まれの橋本紘希学芸員(38)だ。

民家の“お茶の間”の前で、さっそく足を止めた福山アナ。
「見たことないものがいっぱいある…」
「いまと比べてテレビが立方体で…扇風機はいまとそれほど形は変わらないけど、色がレトロですね」

再現されているのは、戦後、伝統的な農家の家屋を改築し、西洋風のスタイルが広がりだした頃の生活。
机の上にはサイダーの瓶が並んでいる。「夏仕様にしています」と橋本学芸員。芸が細かい。

台所をのぞいていみると―
「あー!待って。見たことある!蚊帳みたいな…テーブルの上にあるやつ。ばあちゃんの家にありました」(福山アナ)
見たことはあるけど…という福山アナに、橋本学芸員が使い道を教えてくれた。「蝿帳(はいちょう)というもので、あの中に食べ物を入れてハエが止まらないようにするんです」
「なるほど!ラップ替わりですか」(福山アナ)
台所の壁には、コメ作りのスケジュールが書かれたカレンダーが。これは農家ならではの光景だ。

エアコンの普及率は2%
現代では必需品でも、昭和の頃には家庭にはまだなかったものが―
橋本学芸員:「何か気づきました?」
福山アナ :「家電製品?えー…何だろう。扇風機はあるけど、クーラーがない?」
橋本学芸員:「お!鋭いです。実はクーラーがまだないんです」

内閣府のデータによると、60年前の昭和40年のエアコンの普及率は、全国でわずか2%ほど。その後、昭和60年に50%を超え、平成の終わりには90%にまで伸びた。
ちなみに、昭和40年の夏、7月の福井市の平均気温は24.1度。過去最高となった2025年7月の29.6度と比べると、5℃以上も低かった。35度を超える猛暑日は、2025年には過去最多の19日あったが、当時は1日もなかったのだ。

食堂のメニューも驚きの価格
そして“昭和のまちかど”を歩いていると―
福山アナ :「マンプク食堂も夏が始まっていますね」
橋本学芸員:「夏に合わせて“かき氷始めました”とか、展示を変えているんです」

福山アナが驚いたのは、メニューの値段。
福山アナ :「え!?おろしそば30円、きつねうどん40円…」
橋本学芸員:「だいたい今の10分の1ぐらいですね」
福山アナ :「それにしたらビールは高いですね」(瓶ビール1本160円)
橋本学芸員:「確かに今より少し高いかな」
福山アナ :「“ご褒美”で飲んでいたんですかね」
当時の写真をもとにメニューの値段を再現したという。

駄菓子屋の店先には、アイスクリームの冷凍庫。
虫かごや虫取り網もレトロな雰囲気を醸し出す。

いつの時代も子供たちは虫とりに夢中なようだ。

昭和の生活グッズなどを集めたコーナーには、一世を風靡したゲーム機や漫画なども並ぶ。
橋本学芸員は「家電製品が増え、いまと似てるようで違う、新しい発見もある時代。家族でぜひ、おじいちゃん・おばあちゃんから当時の話を聞いたり、家族で盛り上がってもらえれば」と話す。

みなさんも“あぁ~昔、家にあったな~”と思うものが見つかるかもしれない。