広島・長崎に原爆が投下されてから80年。平和への祈りを新たにしようと、宮崎県日南市では原爆の惨状を伝える写真パネル展が開催されている。被爆者の貴重な体験談も紹介され、改めて平和の尊さを考える機会となっている。
焼野原と化した街、熱線で傷ついた人々…写真16点が語る原爆の惨状

日南市役所で開催されている“戦後80年原爆パネル展”では、被爆した広島と長崎の惨状を記録した写真16点を展示している。

原爆ドーム付近の焼野原と化した街の様子や、熱線で傷ついた人々の姿は、原爆の悲惨さを物語る。

会場では、家族連れなどが⼀つ⼀つ写真パネルを見つめ、平和の尊さをかみしめていた。

子どもからは「こんなことがあったんだなあって思いました。怖いと思いました」という声も聞かれた。
6歳で被爆、田中さん(86)の記憶「母が見るなと言うけれど…」

会場では、長崎の爆心地から約4キロ離れた疎開先で6歳の時に被爆した日南市の田中芙己子さん(86)が当時の体験を語った映像も上映されている。

田中さんは「衝撃的な思い出がある。母が座っていて、背中には赤ちゃんをおぶって、前にも赤ちゃんを抱いている。そのままの姿で亡くなっているのを見た時、母が見るな見るなと言うけれど、子どもながらにじっくり見てしまった。その時のことは、何があっても忘れることができない」と話した。そして「戦争がない、何もない、心配のない世界になってほしい」と平和への願いを語った。
被爆体験記『閃光の彼方』改訂版も配布

会場では、宮崎県原爆被害者の会日南支部が約30年前に被爆体験をまとめた冊子の改訂版『閃光の彼方(せんこうのかなた)』も展示配布されている。

“戦後80年原爆パネル展”は日南市保健福祉総合センター1階ロビーで8月15日まで開催されている。
(テレビ宮崎)