私の実体験になりますが、以前4万円で買ったスカートをリサイクルショップに持っていったら、70円にしかなりませんでした。一桁間違えているのではないかと思いましたが、700円ではなく70円でした。
着ることがなくなった70円のスカート。それが目に入るたびに「着ていないのに捨てられない」という罪悪感にさいなまれます。世界に1人しかいない自分の価値が、たった70円のスカートを捨てられないという罪悪感で損なわれてよいのでしょうか。
こう考えると「捨てていいかな」と思えてきませんか。
それでも、ただ捨てるのはもったいない、リサイクルショップやフリマアプリで売ると言う選択肢もある、という方には、「物の価値+手元において置くことの罪悪感」と「売れるまでにかかる労力(みなさんの時給)+手元からなくなった時の爽快感」を天秤にかけてもらいます。あえて「自分の時給」で考えるところがポイントです。
するとほとんどの方が「捨てる」という決断をできるようになります。
ルーティンの中で捨てるコツ
それでも捨てるのが面倒だという人は、日常のルーティンの行動と抱き合わせて捨ててしまうことをお勧めしています。

例えば朝、クローゼットに立った時にずっと手が伸びていない服があったら、捨てる候補にするために避けておく。メイクのために洗面台に立った時、ずっと使っていないアイシャドウは捨ててしまう。パソコンをシャットダウンする時にはしばらく開いていないファイルをフォルダにまとめたり捨てたり。
痩せなければ履けないスカート、読む予定もない本や雑誌。使う予定のないお客さん用の食器…。そういった、見るたびに罪悪感を覚える捨てられないモノに囲まれて暮らすことは、自尊心を低下させます。
そしてモノを捨てる決断をするということは、それらをもう使わないという等身大の自分を認めていく作業。なかなか大変なことではありますが、それがたった一人の自分の価値を損なわず、大切にすることにつながっていくのです。

中島美鈴
臨床心理士。公認心理師。心理学博士(九州大学)。専門は時間管理とADHDの認知行動療法。