全国高校野球選手権大会=夏の甲子園が5日に開幕する。長崎代表の創成館は、開会式直後の開幕試合で石川県代表の小松大谷との対戦となった。3年連続で夏の甲子園出場を決めたチームの強みを取材した。
「守り勝つ」創成館
3年連続5回目の甲子園に出場する創成館ナイン。この日、出発前の最後の練習では熱が入っていた。

下川輝主将は「夏の大会もバントができずに、こういう苦しい展開になっていると思う。甲子園ではバントミスとかも絶対になくさないと勝てないわけだし、徹底してバントを集中してやるようにバッティング練習やっていこう」と、練習中に声をかける。

県大会の準々決勝以降、いずれも2点差以内の接戦を「守り勝つ」野球で勝ち抜いた創成館。
打撃に課題があるチームだからこそ、バントなど小技を絡めた連携やキャッチボールなど基礎を大切にしている。

練習後に行うのが「部訓の唱和」だ。
・苦戦しても敗戦しない
・常にスタートはここである
・心と態度を高めれば、自然と取り組む姿勢は変わってくる
諦めずに戦う姿勢を確認し、チームの士気を高める。

稙田龍生監督は「甲子園は『力』で来るチームが多いので、こっちは『技』でいきたい。(甲子園では)しっかり守ってリズムを作って少ないチャンスをものにする。これしかない」と話す。
「守り勝つ」チームの軸は森下投手
「守り勝つ」チームの軸は、エース・森下翔太投手(3年)。まっすぐでカウントを取って抑えるのが持ち味だ。

県大会ではランナーを出しても点を与えない粘りの投球で、エースの役割を全うした。いまや球速はMAX149キロとチーム1だが、2024年まではベンチ外で球速も130キロ台半ばだった。
急成長の理由は2024年、聖地のアルプススタンドから見た景色だったと話す。
森下翔太 投手:自分の同じ年代の奥田(晴也)選手(現・背番号11)がベンチに入って甲子園でも投げたので、そこで悔しい思いが強かった。

週6日のウエイトトレーニングや練習後の毎日のシャドー練習で力を伸ばし、森下投手は「背番号1」をものにした。森下投手は「無失点ピッチングを意識して、甲子園でも思い切ったプレーをして、自分のピッチングをできるよう頑張りたい」と語る。

練習中もバッテリーを組む山下翔捕手(3年)と、腕の振りや球の精度などについて確認しながら気持ちをひとつにする。
山下捕手は「森下も何かがあったら崩れるタイプなので、そういう時に一声かけて修正させるのが自分の役目だと思っている。試合中も声かけは欠かさずにやっている」と話す。
チームの4番でもある山下捕手だが、県大会では小技も駆使しチームに貢献した。

山下翔選手:4番だがバントやセーフティスクイズなどチームのために打点でなくて、打線をつなげていけるようなバッティングができるからこそ、4番に置いてもらえているのかなと思う。去年は試合に出たがヒットも1本も打てずミスもしたので、今年はヒットも打って活躍したい。
先輩の記録を抜く2勝を…
創成館は2023年、2024年と甲子園で「1勝」だった。この夏の目標は「先輩をこえること」だ。

下川主将は「この学年は仲がいい学年なので、一致団結。一体感が自分たちの強み。先輩の記録を抜く2勝をまずしたい。目の前の1戦1戦を大事に戦っていきたい」と意気込んいる。

3年連続出場と夏の甲子園常連校になりつつある創成館。次は「守り勝つ」野球で、全国の強豪に名乗りを上げる。
創成館初戦は5日の開幕試合となった。2025年は初めて開会式が夕方に行われ、午後5時半プレーボールだ。
(テレビ長崎)