プロ野球、福岡ソフトバンクホークスの松本裕樹投手(29)。インタビュー取材をしたこの日まで31試合に登板。パ・リーグトップの24ホールド。防御率1.19と中継ぎで無双状態だ(8月1日現在)。

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昨シーズンは2年連続の50登板を果たすもシーズン終盤に右肩を痛め戦線離脱。悔しい思いをした。「あの悔しさを持って、ずっとやっていますね」と語る松本投手。いまホークスの勝利の方程式の一角を担う“8回の男”松本投手を直撃した。

シーズンオフはリハビリを順調に

その表情は“クール”だ。7月21日の埼玉西武ライオンズ戦。8回表に3番手で登板した松本投手は、今シーズン2度目となる2試合連続登板だったが、僅か3球でスリーアウトをとる、超省エネピッチングを披露。表情を変えることなく、しっかり役目を果たした。

登板数31試合 24ホールド 防御率1.19(8月1日現在)
登板数31試合 24ホールド 防御率1.19(8月1日現在)

「自分でも投げているボール自体は、もう真ん中の真っ直ぐでしかないので、“3人で終われた”っていうところは、本当に良かったかなと思います」。どこまでも“クール”だ。

今シーズンの松本投手のピッチングについて野球解説者の池田親興さんは「昨年までを見ているとコントロールの質がすごく上がっている気がする」と評価する。

「去年は、余り自分の投げる球のなかで変化球が良くなかったので、何とか出力を出して乗り切るというか、抑えるっていうのが去年のスタイルだった。それを今シーズンは、変化球だったり、コントロールだったりを見直して、いまに繋がっているのかなと思います」

昨シーズン終盤の9月、右肩を痛め戦線離脱したものの、シーズンオフはリハビリを順調にこなし、今シーズン開幕までに間に合わせた松本投手。「肩の不安はない」と話すが、2試合連投は現在まで2回と首脳陣も無理をしない起用を続けている。

「不安があるっていうところで、投球を“抑えている”というわけではないです。バランス良く投げた結果、いまぐらいのスピードで、変化球とのコンビネーションとかその辺を考えた結果、いまぐらいの力感というのが、理想かなとは思っています」

「本当に今年は我慢の1年かなと思うので、調子が良くても肩の状態が悪かったら、しっかり(上層部に)言うなりして、今年はちゃんとやらないといけないと思う」

“シン・勝利の方程式” 一角を担う

これまで優勝したシーズンを振り返ると“勝利の方程式”と呼ばれる存在があった。今シーズン当初のホークスの戦いは、9回の抑えがオスナ投手(30)、その前のヘルナンデス投手(28)が、いわゆる“勝利の方程式”だったが、両投手の不調などですぐにそのかたちが崩れ、現在は、主に7回を投げる藤井皓哉投手(29)、9回を投げる杉山一樹投手(27)とそれに“8回の男”松本投手の3人のかたちとなっている。

松本投手もオスナ投手の代りに9回に投げる杉山投手には大きな信頼を寄せている。「もう頼もしさしかないですね。杉山の投球を見ていると。まずはストライクが入ってしまえば、もう元々それぐらいのポテンシャルはあったので、それが去年からストライクが入るようになって、今年さらにそれが進化しているなと思っています」

ホークスの歴代“勝利の方程式”に負けない藤井、松本、杉山という『3本の矢』ではなく藤・松・杉の『3本の木』が今シーズンの“シン・勝利の方程式”だ。その活躍がペナントレース後半戦には欠かせない。

目標とするタイトルは?

「タイトルを目標には、余りしてないですけど、1年間、そこ(8回)のポジションを任せられれば『獲れるかな』とは逆に思っているので、まずは1年間投げ続けることをしっかり目標としてやっていくかたちですね。もちろん中継ぎで1年間回っていたら50試合っていうのは、最低限の目標かなと思っていますけれど」

連投については、これから先、リミッターを解除していく状況など変わってくることもあると考えられる。「もちろんそこはしっかりと首脳陣と話し合ってやってきているし、その期待に応えるように、後半戦の大事なところでは、ちゃんといけるような状態をしっかりつくっていきたいと思っています」

どこまでも“クール”な松本投手。後半戦はフル稼働になると思われるが、ホークス優勝のためには、なくてはならない存在なのだ。

(テレビ西日本)

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