富山市の城址公園で107羽ものサギの死骸が見つかった問題で、市は当初の「暑さが原因」との見解を改め、サギが巣を作るマツの木を伐採した時期が不適切だったことが原因だったと発表した。

「本市の対応によって多くのサギの命が失われました」

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「この度は大変申し訳ありませんでした」。富山市建設部の沼崎益大次長は29日の会見で深く頭を下げた。約1か月前から富山城址公園の東側の堀でサギの死骸が次々と見つかり、28日までに確認された死骸は107羽に上った。

当初、市は「連日の暑さがストレスとなり死んだと見られる」との見解を示していたが、会見では一転、市の判断ミスを認めた形となった。国立環境研究所の検査では、鳥インフルエンザや農薬などの毒物、病原体は検出されていない。

サギのフン被害対策が招いた悲劇

城址公園では約3年前からサギ類が松やサクラの木に巣を作るようになり、市民からは鳴き声やフンの臭いに苦情が寄せられていた。先月、白いサギの数が増え、木の上で羽ばたく姿も多く見られたことから、市は「子育て期間が終了した」と判断。鳥獣保護管理法に基づく県への許可申請は不要と判断し、マツの木6本を伐採した。

「私どもも6本の木でこんなに影響があるのかという最初は正直な思いだった」と富山市公園緑地課の樫尾正樹課長は述べた。市は「木を伐採すれば他の場所にサギが離れるだろう」と想定していたが、結果は想像を超えるものだった。

巣立ちヒナが最も影響受ける

市の説明によると、伐採により親鳥と離れ離れになった「巣立ちヒナ」たちが最も影響を受けた。見た目では成鳥に見えても自立できていないヒナたちは、住処を失い、エサを得られず、外敵や縄張り争いの影響を受けた。さらに暑さによる体力消耗、堀の水による低体温症など複合的な原因で死亡したとみられている。

富山市は伐採の判断の見極めが不十分だったことを認め、今後は専門機関などの意見を踏まえ再発防止に取り組むとしている。

富山テレビ
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