どこで大雨になるか予測ができず、短時間で天気が急変して起きる“ゲリラ豪雨”。夏のレジャーでは特に注意が必要だ。そこで、村田光広気象予報士が、その兆候やメカニズムについて解説する。
ゲリラ豪雨の要因「積乱雲」が発生する2つの条件
つい先ほどまで晴れていたのに、急に大雨になる「ゲリラ豪雨」をもたらすのは、積乱雲。その発生要因は、主に2つある。
1つは、強い日差しによって地上の空気が暖められていること。2つは、上空に寒気があること。

夏は強い日差しによって暖められた地表付近の空気が上昇する。温度が高くなればなるほど勢いよく上昇し、上昇した空気は上空で冷やされて雲が発生する。このときに上空に寒気があると、積乱雲が発達する。
地上と上空の温度差が大きければ大きいほど積乱雲は発達し、1時間に数十ミリ、ときには100ミリを超える猛烈な雨を降らせることもある。
近年、夏は高温で積乱雲がより発達するので、夕立ちとは雨の降り方が違う。加えて、都市化が進んだことなどにより排水が間に合わず、内水氾濫など、短時間で大きな被害につながることが多くなっている。

ゲリラ豪雨の兆候
発生場所や時間をピンポイントで予測することができないとはいえ、ゲリラ豪雨が発生する直前には、次のような兆候がある。
・真っ黒な雲が近づいて、急に暗くなる
・雷の音が聞こえたり、雷の光が見える
・急に冷たい風が吹く
これらは、活発な積乱雲が近づいてきたサイン。このような場合は、すみやかに安全な建物に避難するようにしよう。

天気予報でも注意すべきポイントが
また、天気予報で気を付けるべき表現もある。「大気の状態が不安定」「上空に寒気が入る」「所により雷」といった解説をすることがある。このような場合は、天気が急変する恐れがある。
さらに「雷注意報」が発表されている場合もゲリラ豪雨に注意が必要だ。
スマートフォンなどで最新の気象情報を確認することも大切だ。
気象庁のウェブサイトでは雨雲の動きを見ることができ、大雨になっている場所が分かる。また「雷活動度」という情報もあり、黄色や赤の表示がある場合はとゲリラ豪雨をもたらす積乱雲が発達しているサインだ。

夏は海や川などレジャーが楽しい季節。前日の天気予報などでゲリラ豪雨に注意が必要だと分かった場合は、リアルタイムの情報を収集するようにしよう。