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プレスリリース配信元:株式会社ブシロード

株式会社ブシロード (本社:東京都中野区、代表取締役社長:木谷高明)のグループ分析組織にあたるアニメデータインサイトラボ(代表:大貫佑介)は、アニメビジネスにおける調査を実施しました。今回は、2025年春クールのアニメ作品を対象に、SNSや配信再生数、各種ランキングなど多角的なデータを用いて分析していきます。報道関係の皆様におかれましては、ぜひ本情報をお取り扱いいただきますよう、お願い申し上げます。




はじめに
2025年春アニメも終盤となり、10週間にわたる視聴者の注目度推移データが出揃いました。前回の初動分析に続き、今回は「継続視聴による評価の変化」と「SNS投稿量と検索量の因果関係」に焦点を当てて分析を行います。

特に注目すべきは、初動では話題にならなかった『えぶりでいホスト』が最終的に275%という驚異的な伸びを記録した点や、X投稿量と検索量で明確に異なる成長パターンが確認された点です。

本記事では、Googleトレンド検索量データとX投稿量データを用い、2025年春アニメ全62作品の10週間推移から、新たな成功パターンと因果関係を解明します。
分析概要
分析対象
2025年春アニメ 全62作品(新作52作品、続編10作品)

使用データ
Googleトレンドによる検索量データ(週次)
X投稿量データ(週次)

分析期間
春アニメの放送1週目~放送10週目
10週目維持率分析
10週目時点での注目度維持率を分析すると、従来の初動重視とは大きく異なる結果が見えてきた。



最も注目すべきは『えぶりでいホスト』の275%という驚異的な維持率です。この作品は5分アニメで、テレビ放映と並行してYouTube公開も行われており、トレンドの上がり方はYouTube公開のタイミングと連動しています。

トップ5作品のうち4作品が10週目時点で1週目を上回る注目度を維持している。これらの作品は視聴者から特に高い評価を得ているといえます。

X投稿量と検索量の因果関係分析




10作品のX投稿量平均維持率は131%で、同10作品の検索量平均維持率110%を上回る結果となりました。
これは、SNS上での積極的な感想投稿や話題拡散が、検索量以上に活発に行われていることを示している。
主要作品の成功パターン分析
『アポカリプスホテル』:初動からのSNS優勢パターン



X投稿量維持率187%、検索量維持率101%の『アポカリプスホテル』は、初動からSNSでの話題性が検索を上回る典型的なパターンを示しました。2週目以降一貫してX投稿量維持率が検索量維持率を大幅に上回り、7週目には222%まで到達。独特な世界観と視覚的インパクトの強いシーンが、SNSでの拡散に適したコンテンツとして機能し、継続的な話題創出を実現しました。

『前橋ウィッチーズ』:継続的SNS話題拡散の成功例



X投稿量維持率209%、検索量維持率103%を記録した『前橋ウィッチーズ』は、継続的なSNS話題拡散で成功した代表例といえます。

2週目から10週目まで一貫してX投稿量維持率が検索量維持率を上回る推移を示し、8週目にはX投稿量維持率207%でピークを形成。

地域密着型の設定と親しみやすいキャラクターが、SNSでの継続的な感想投稿や二次創作を促進し、安定した話題性を維持することに成功しました。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』:大型IPの段階的戦略展開



X投稿量維持率139%、検索量維持率74%の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は、大型IPならではの特徴的な推移を示しました。
初期は検索による能動的な情報収集が主要だったが、7週目以降にSNS投稿量維持率が大幅増加し、中盤以降の展開で爆発的な話題性を獲得。
これは既存ファンの期待に加え、新規視聴者も巻き込んだ展開の成功を示している可能性が高いでしょう。

『えぶりでいホスト』:転換点型成功パターンの解明



『えぶりでいホスト』の推移は、アニメ業界における「転換点型」成功パターンの重要性を示す象徴的な事例となりました。8週目まで47%程度で低迷していたが、7話の内容がSNSでバズったことを契機に、9週目に突如169%まで急上昇し、10週目には275%まで到達。この急激な転換点は特定エピソードの話題性とYouTube公開による拡散効果が組み合わさった結果と考えられます。
SNS→検索の因果メカニズム
『えぶりでいホスト』の事例では、7話のバズを契機とした9週目のX投稿量維持率441%が10週目の検索量維持率275%増加の直接的な要因となっており、「特定エピソードのバズ→SNSでの話題拡散→検索行動の誘発→継続的関心の獲得」という明確な因果関係が確認できます。

この分析により、『えぶりでいホスト』についてはSNSでの話題拡散が検索行動を誘導する明確な事例として確認されました。9週目のX投稿量維持率441%という爆発的な増加が、10週目の検索量維持率275%の要因となったと考えられるでしょう。
VOD独占配信の実態
独占配信作品は初動における注目度確保に一定の成果を示している。特にPrime Video独占の『謎解きはディナーのあとで』と『片田舎のおっさん、剣聖になる』は、それぞれ新作ながら初週の検索量で全作品中3位と4位にランクインしていました。

しかし、週次推移の詳細分析から、独占配信作品には一般配信作品とは異なるパターンが確認されました。

『謎解きはディナーのあとで』(Prime Video独占)



『謎解きはディナーのあとで』は、8週目にX投稿量維持率が61%まで回復する局面があったものの、検索量維持率は20%に留まり、SNSでの盛り上がりが検索行動に反映されなかった。最終的にX投稿量維持率20%、検索量維持率15%という結果となりました。

『片田舎のおっさん、剣聖になる』(Prime Video独占)



『片田舎のおっさん、剣聖になる』も初週上位の検索量でスタートし、2週目にはX投稿量が117%まで上昇する好調な滑り出しを見せました。しかし、この時点で既に検索量は75%に下降しており、SNSでの盛り上がりと検索行動の乖離が早期から現れています。3週目以降は両指標ともに継続的な下降トレンドを示し、最終的にX投稿量15%、検索量40%となりました。

独占配信作品の特徴
一般配信では『えぶりでいホスト』のSNS441%→検索量275%、『前橋ウィッチーズ』のSNS209%→検索量103%といったSNSから検索への連動が機能していました。

しかし独占配信作品では、SNSでの盛り上がりが検索量増加に結びつかない傾向が見られた。この現象が独占配信戦略固有のものかは検証が必要だが、少なくとも今季のPrime Video独占作品においては、SNSでの話題性が新規視聴者の関心に転換されにくいという特徴が確認できました。

データから読み取れる成功要因
「転換点型」成功パターンの確立
『えぶりでいホスト』の事例が示すように、8週目まで低迷していた作品が特定エピソード(7話)のバズをきっかけに9週目に急激に注目度を爆発させるパターンが出現している。特に同作品は9週目にX投稿量維持率が441%まで急騰しており、SNSでの爆発的な話題拡散が検索量の275%成長を後押ししている。視聴者の選別眼が厳しくなる中、初動よりも特定の話題性エピソードが転換点となる「転換点型」の成功パターンが新たに確認されました。
SNS話題拡散から検索誘導への一般的メカニズム
今季の分析では、SNSでの話題拡散が検索行動を誘導する傾向が複数の作品で確認された。特に『えぶりでいホスト』『前橋ウィッチーズ』『アポカリプスホテル』では、SNS投稿量維持率が検索量維持率を上回る成長を示しており、SNSを起点とした話題創出の有効性がデータから明らかとなった。
SNS上での感想共有と話題拡散の活発化
X投稿量平均維持率131%は同一作品群の検索量平均維持率110%を上回っており、SNS上での感想投稿や話題拡散が検索以上に活発化していることが判明。これは視聴者がアニメに対して「調べる」よりも「語る」行動を重視していることを示しています。

総括
成功作品に共通するのは、初動に頼らず放送期間を通じてSNSでの話題を維持・拡大させていることでしょう。『前橋ウィッチーズ』のような継続的な話題拡散、『アポカリプスホテル』のような初動からのSNS優勢、『えぶりでいホスト』のような特定エピソードでの爆発的拡散など、アプローチは異なるものの、いずれもX上での積極的な感想投稿や二次創作を促進する要素を持っています。

これらから、インパクトの強いシーン設計、SNSでの拡散を意識したキャラクター・世界観、視聴者が「語りたくなる」コンテンツの継続的な提供が、現代のアニメ成功の鍵となることが示唆されます。

・レポート著者
株式会社SevenDayDreamers
湯通堂 圭祐
株式会社マクロミルでデータサイエンティストとして複数の新規事業を立ち上げ、その後、FiNC Technologiesにてデータ分析、グロースハック、プロダクト開発、経営企画、人事の責任者を歴任。現在は、株式会社SevenDayDreamersを創業し、データとAIを活用してコンテンツIPの価値最大化に取り組む。

・レポート編集
アニメデータインサイトラボ
代表:大貫 佑介

またアニメデータインサイトラボでは、今後もアニメビジネスに携わる人々に役立つ情報やサービスも提供していきます。



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