1700人以上が犠牲となった岡山空襲から6月29日で80年を迎えます。岡山市の中学校で27日、空襲体験者の講演会が開かれ、子供たちが平和の尊さを学びました。

この講演会は岡山市の岡山操山中学校で毎年開かれているもので、27日は1年生約120人が参加しました。

講師を務めるのは5歳の時に岡山空襲を体験した川野辺郁さん(85)です。

(5歳の時に岡山空襲を体験 川野辺郁さん)
「死体がゴロゴロ(転がっていた)。一人またいだ途端に足がガタガタとして歩けなくなって、しゃがみこんでしまった」

1945年6月29日未明、アメリカ軍のB29が市中心部に約9万5000発の焼夷(い)弾を投下し、1700人以上が犠牲となった岡山空襲。川野辺さんは焼夷弾の降りしきる市街地を家族とともに逃げ惑いました。

(川野辺郁さん)
「前の方に焼夷弾が落ちて焼けだして、先頭にいる人が振り向いて「反対方向へ走ってください」と言っていたら、またそこに焼夷弾が落ちる」

当時のことは思い出したくないと語る川野辺さん。それでも「語り部」が減る今、次の世代に平和の尊さを伝えようと凄惨な「記憶」を子供たちにつなぎます。

(参加した生徒は…)
「(川野辺さんが逃げるときに)死体をまたいだと言っていたが、ボロボロになるほど痛々しいのだと実感した」
「お気に入りの服を着たかったとか、暮らしのリアルを聞けたことが貴重な体験だった」

戦後80年。記憶を風化させないよう語り継いでいくことが求められます。

(川野辺郁さん)
「体力の続く限りは子供たちに伝えようと思う」

岡山放送
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