秋篠宮家の次女・佳子さまは、ブラジルへの公式訪問について、「これからも何度も思い返し、心の中で深まり続ける」と感想を寄せられました。

佳子さまは、6月4日から17日までの国交樹立130周年を記念した公式訪問について、文書で感想を寄せられました。

滞在中、大統領を表敬し、8つの都市を巡ってさまざまな世代の人たちと重ねた交流を振り返り、「ブラジルの多様な魅力と両国の関係の深さを改めて感じました」、「ブラジルでの出会いや出来事はどれも大切なものであり、これからも何度も思い返し、心の中で深まり続けることと思います」とつづられました。

また、温かい歓迎に感謝を示したうえで、「あたたかな気持ちを寄せていただいている日本が、よりよい社会に向かって進んでいくことの大切さを強く感じました」と思いを示されました。

以下、ご印象全文。

佳子内親王殿下のご印象(ブラジルご訪問を終えて)
 
この度、日本とブラジル連邦共和国との外交関係樹立130周年、また「日本ブラジル友好交流年」にあたり、ブラジル連邦共和国政府よりお招きをいただき、同国を訪問できましたことを、誠に嬉しく思っております。今回は、サンパウロ州のサンパウロ、パラナ州のマリンガ、ロランジア、ロンドリーナ、フォス・ド・イグアス、マット・グロッソ・ド・スール州のカンポグランデ、首都ブラジリア、リオデジャネイロ州のリオデジャネイロを訪れました。ブラジルの皆様からあたたかくお迎えいただいたことに、深く感謝を申し上げます。

首都ブラジリアでは、ルーラ大統領閣下にお目にかかりました。今年の3月に国賓としてご訪日された際にご挨拶をさせていただいて以来、再びお会いすることができ、親しくお話する機会をいただいたことは、たいへん光栄なことでした。今回の訪問にあたり様々なご配慮をいただきましたことに、心から感謝しております。

130周年に関連して行われた行事は、両国の関係を振り返る感慨深いものでした。首都ブラジリアの連邦議会では、モッタ下院議長とお話しし、「連邦議会主催日伯外交関係樹立130周年・日本人ブラジル移住の日記念式典」に出席し、両国の友好関係を強く感じました。外務省にてヴィエイラ外務大臣が開催してくださった「ブラジル政府主催日伯外交関係樹立130周年記念午餐会」は、日本とのつながりを大事に思ってご準備くださった心あたたまるものでした。以前の首都があったリオデジャネイロでは、外交関係を樹立した「日伯修好通商航海条約」批准書の貴重な原本などもみせていただきました。

サンパウロ州、パラナ州、マット・グロッソ・ド・スール州では、それぞれの知事にお会いしました。その際には、各州の魅力、日本と各州とのつながりなど、様々なお話をすることができました。

サンパウロ、マリンガ、ロンドリーナ、カンポグランデ、ブラジリアにて日系社会が、リオデジャネイロにて日系社会と在留邦人の方々が、心のこもった歓迎の行事や昼食会を開催してくださいました。サンパウロ、マリンガ、ロランジア、ロンドリーナ、カンポグランデ、ブラジリア、リオデジャネイロ、フォス・ド・イグアスでは、日系の方々の施設や宿舎に多くの方々が集まってくださいました。このような機会に、多くの日系の方々にお会いすることができました。また、日本での研修や留学の経験のある方々、日本に関心のある方々、日本語や日本の文化を教えている方々、学んでいる方々、在留邦人やJICAの方々などにお会いしました。

子どもからご高齢の方まで、多くの方々にお会いできたことを、たいへん嬉しく思っております。中には、遠い地域から足を運んでくださった方もいらっしゃいました。現在の生活、仕事や活動の様子とそれに込める思い、将来の夢、ご自身のルーツ、日本への気持ち、移住してからの生活、日本に対する関心、ブラジルの歴史や文化などについて、お伝えくださったことそれぞれが深く心に残っております。

各地で若い世代の方々や子どもたちと交流できたことも印象的でした。その中で、施設を訪れたものとしては、「松柏・大志万学園」、「ビスコンデ・デ・カイル学園」、「ブラジリア連邦大学」がありました。「ブラジル日本語センター」が主催している「ふれあい日本の旅」の参加者で、過去に私が日本でお会いした方々との再会も嬉しいことでした。

サンパウロとロランジアの「開拓先没者慰霊碑」、カンポグランデの「開拓先駆者慰霊碑」では、先人が歩まれた険しい道のりに思いを馳せながら、献花をさせていただきました。資料館では、それぞれの地域における状況も含め、日系の方々の歴史を改めて胸に刻みました。日本から移住された方々とそのご子孫が、様々な困難に直面しながらも、日々努力を重ねてこられたこと、ブラジルの社会に貢献してこられたことを、これからもしつかりと心にとどめてまいります。

披露してくださった歌や踊り、太鼓や笛、獅子舞などは、楽しいもの、美しいもの、エネルギーや迫力にあふれたもの、胸にしみ入るもの、かわいらしいものなど、それぞれに素晴らしいものでした。本番の日まで、きっと熱心に練習してくださったことでしょう。スピーチで伝えてくださった思いや、プレゼンテーションの興味深い内容も心に残っています。

この度の訪問中、経済的に困難な状況にある女性の収入につながる取組や、環境に優しい取組、地域の独自性を活かした取組について伺ったり、そのような取組によって作られた作品を紹介していただいたりする機会がありました。また、「ブラジル政府主催日伯外交関係樹立130周年記念午餐会」で室内楽を演奏していたのは、経済的に困難な状況にある子どもたちが音楽を学ぶプログラムを経て音楽家となった方々でした。これらの取組の重要性とともに、ご紹介いただいた作品やお聞きした音楽の魅力を感じました。

日系の方々が様々な分野でブラジルの社会へ大きく貢献をされてきたこと、日本とブラジルの絆を紡いでこられたことを改めて実感しました。日本語や日本の文化に携わっている方々、在留邦人やJICAの方々の貢献、サンパウロの「日本館」や「ジャパンハウス」、リオデジャネイロ植物園の「日本庭園」なども、日本への親しい感情や関心の高さへ寄与していることを感じました。ブラジルにいらっしゃる日系の方々、両国の友好関係に貞献してこられた方々に、改めて深い感謝と敬意を表します。

ブラジルにおいて多くの方々が日本にあたたかな気持ちを持ってくださっていることを、とてもありがたく思います。同時に、あたたかな気持ちを寄せていただいている日本が、よりよい社会に向かって進んでいくことの大切さを強く感じました。

外交関係樹立130周年、「日本ブラジル友好交流年」にあたり、ブラジルから日本に約21万人の方々が来られ生活されていることを書き記したいと思います。ブラジルヘの訪問に先立ち、ブラジルから日本に来られた方々が、異なる言語や生活習慣で暮らす中で日々努力されていることや、様々な分野で活躍されていることを伺いました。ブラジルから日本に来られている方々、日本で両国の友好関係に貢献してこられた方々に、改めて深い感謝と敬意を表します。

ブラジル訪問中の出来事を振り返りますと、創造的な首都、活気のあるビル街、広大な畑、空に広がるパラナマツやカポックの木、のどかな農村、世界遺産である「コルコバードの丘」から見た朝日、「イグアスの滝」の迫力など、それぞれの地域の景観とともに、お会いした方々のお顔が思い出されます。

訪間全体を通して、ブラジルの多様な魅力と両国の関係の深さを改めて感じました。この文書にすべてを記すことは叶いませんが、ブラジルでの出会いや出来事はどれも大切なものであり、これからも何度も思い返し、心の中で深まり続けることと思います。

それぞれの訪問先で、多くの方々が心をこめて準備してくださいました。お迎えくださった方々、訪問のために力を尽くしてくださり、心を寄せてくださった方々に、改めまして、心から感謝を申し上げます。そして、この度の、外交関係樹立130周年、「日本ブラジル友好交流年」を契機として、より幅広く、様々な形で、両国の友好関係が一層深まることを願うとともに、日本とブラジルがこれからも大切な友人として寄り添い続ける末来を思い描いております。

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