天皇陛下は、5月24日から2日間の日程で「全国植樹祭」に出席するため、埼玉県を訪問されました。陛下は、埼玉特産の狭山茶の研究所を視察したほか、歌舞伎に取り組む小学生など各地で子どもたちと交流されました。植樹祭では「お手植え」と「お手まき」に臨まれました。
「雅子が今回伺えず、残念に思っております」
天皇陛下は、5月24日から2日間の日程で、全国植樹祭出席のため、埼玉県を訪問されました。同行する予定だった皇后さまは、体調が整わなかったため、急遽訪問を取り止められました。陛下は、出迎えた大野県知事に「雅子が今回伺えず、残念に思っております」と伝えられました。

陛下がまず視察されたのは、入間市にあるお茶の研究施設「埼玉県茶業研究所」。埼玉県の特産物・狭山茶の様々な品種について説明を受けられた陛下は、茶葉を手に取り、香りを確かめ、「それぞれ香りが違うわけですね」と述べられました。

続いて茶畑を見学し、茶摘みを体験した陛下は「入間でほとんどとられているのに狭山茶なんですね」などと話されていました。

県立入間わかくさ特別支援学校では、職業訓練で接客の実習などに取り組む高校生と交流されました。

パン作りに取り組む職業学科3年・柴下大叶(はると)さんに「楽しいですか?」と質問された陛下。「楽しいところもありますけれど、一番は緊張が」との答えに「例えば食中毒とか、異物の混入とか気を遣うでしょうね。いいパンができるといいですよね」と、今後の活躍に期待を寄せられていました。

熊谷市では、緑化運動のポスターコンクールで入賞した小中学生ともお会いに。

「学校はどうですか?」と聞かれた児童が「担任の先生が怖い」と答えると、陛下は「怖いですか、そうですか」とにこやかにうなずかれました。
「全国植樹祭」で秩父地方の思い出語られる
訪問2日目、陛下は秩父神社で、日本三大夜祭のひとつ「秩父夜祭」の山車を見学し、小学生が演じる地元の郷土芸能、「小鹿野子ども歌舞伎」をご覧になりました。

地元小学生による歓迎の口上:
このたびは第75回全国植樹祭を天皇陛下の御臨席をあおぎ盛大に開催できますこと、この上ない光栄と、感激に堪えない次第でございまする。
地元小学生の見事な歓迎の口上に、陛下は「大変ですか?」「週に何回くらいお稽古しているんですか?」などと質問し、「ほんと立派でしたね、素晴らしい口上、どうもありがとう」と笑顔を見せられていました。

この日、秩父ミューズパークで開催された「全国植樹祭」。登山が趣味の陛下は、おことばで、埼玉県の山と自然に触れられました。

天皇陛下:
私もかつて武甲山(ぶこうざん)や雲取山(くもとりやま)、両神山(りょうかみさん)などの秩父や奥秩父の山々に登ったことがあり、原生林を思わせる奥深い森林や渓谷などの美しい自然に魅了されたことを今でも懐かしく思い出します。このようなすばらしい自然が多くの人々の手によって守り育てられ、今日(こんにち)まで受け継がれていることを喜ばしく思います。

「お手植え」に臨まれた陛下。埼玉県の木・ケヤキ、花粉の少ないスギ、トチノキ、の3種類の苗木を植え、花粉が少ないヒノキとアカシデの種を「お手まき」されました。

豊かな森作りの運動がさらに広がることを願われた天皇陛下です。
(「皇室ご一家」6月1日放送)