高速道路で相次ぐ逆走による交通事故を受け、全国で初めて、自動車専用道路での対応訓練が福井県内で行われた。福井県警と国土交通省が連携し、逆走車両を発見したとの110番通報から追跡、停止させるまでの手順を確認した。
通報、発見、追跡、停止の流れを確認
午前11時すぎ、逆走車両についての110番通報を受けた想定で訓練がスタートした。
「現在、中部縦貫自動車道上り線・上志比インター付近において、逆走事案の目撃情報。至急、現場急行せよ」

県警から情報を受けた福井河川国道事務所のパトカーなどが現場に急行。逆走車両を発見すると、反対車線を並走しながら「逆走です、停止してください」とスピーカーから運転手に呼び掛けた。

パトカーで車線を封じ逆走車を停止
先回りしたパトカー2台が、逆走車両の行く手を阻むように停車させ、誘導棒や赤い旗を持った警察官がスタンバイ。発煙筒をたき、走ってきた逆走車両に大きく旗を振って停車をうながした。

情報共有と連携の手順を確認
訓練は、中部縦貫自動車道の勝山IC-九頭竜ICの片側1車線の上下線を午前10時から2時間半にわたり通行止めにして実施された。国交省によると、自動車専用道路での訓練は全国初だという。
訓練に先立ち、福井県警の増田美希子本部長は「福井県内でも過去5年間に33件、逆走事案を認知している」とし、「警察と道路管理者の情報共有と緊密な連携を」と指示した。

高速道路の逆走は全国的に後を絶たず、2025年4月には栃木県内の東北自動車道で逆走車両との正面衝突事故をきっかけに多重事故が発生し、3人が死亡、約10人がけがをする事態となった。
訓練後、県警高速隊は「ドライバー1人1人が、逆走は命にかかわる非常に危険な行為であることを認識し、安全に走行してもらいたい」とした。

県警や国土交通省では、インターチェンジやサービスエリアでドライバーらに逆走防止を呼び掛ける啓発活動も継続していくことにしている。