NG例のように、いきなり指示的なことを言ってしまうと、せっかく作った相手の受け入れ体制が崩れ、拒絶反応を招く可能性があります。まずはOK例のように、これまで相手が「こうするとよいと思う」と言ってきたことを肯定的に受け止めていることを伝えます。
会話は「肯定→提案」の構図で
次の「提案」は、OK例のように「それに加えて、こうしてみる方法もあると思うんだけど、どうかな」と、相手に判断を委ねます。
このケースでは、「そういうセミナーがあるなら行ってみたいです」という答えが理想ですが、相手は必ずしも、アドバイス通りの方向に進むとは限りません。それでも、「セミナーもよいと思いますが、まずは本を読むことからやってみようと思います」というように、アドバイス自体はポジティブに受け止めてくれるでしょう。
「肯定→提案」という話し方は、相談を受けてアドバイスする場合だけでなく、指導をする場合のトークにも有効です。
次の例は、部下や後輩が効率の悪いやり方をしているのを目にした際のトークです。
■NG例
そのやり方だと効率が悪いから、こうしなよ。
■OK例
丁寧にやっていていいね。その上でなんだけど、ここだけこうしてみる手もあるよ。精度を落とさずに、効率化できると思うんだけど、どうかな。
OK例は、先ほどの相談を受けてアドバイスをする場合と同様に、「肯定→提案」の構造です。このようにアドバイスをしたほうが相手は受け入れやすくなります。
せっかくアドバイスするのですから、相手が素直に受け入れ、よりよい方向に進めるように導いてあげましょう。

濱田秀彦
株式会社ヒューマンテック代表取締役。マネジメント、コミュニケーション研修講師として、階層別教育、プレゼンテーション、話し方などの分野で年間120回以上の講演を実施。これまで指導してきたビジネスパーソンは5万人超。おもな著書に『仕事を教えることになったら読む本』(アルク)、『「上司に話が通じない」と思ったときに読む本』(かんき出版)、『どんな人とも!仕事をスムーズに動かす5つのコツ』(すばる舎)など多数。