日本との国交樹立130周年を迎えるブラジルを公式訪問された佳子さま。11日間で8都市を巡り幅広い世代の日系人などと交流したほか、大統領を表敬訪問するなど友好親善に務め、「これからもずっと心に残り続けると思っています」と訪問の感想を述べられました。
世界最大の日系人社会 移民の歴史に触れて
秋篠宮家の次女・佳子さまは、6月4日から14日間の日程でブラジルを公式訪問されました。

2025年、日本との国交樹立130周年を迎えるブラジル。およそ120年前に日本からの移住が始まり、現在、世界最多となる270万人の日系人が暮らしています。

佳子さまがサンパウロで初めに訪ねられたのは「開拓先没者慰霊碑」。

花を供え、苦難の道を歩んだ移民をしのばれました。

移民の歴史を紹介する史料館も視察された佳子さま。

明治41(1908)年、最初の移民船「笠戸丸」で781人がブラジルにわたりました。
以来、およそ26万人が移住。見知らぬ土地で苦労を重ねながらブラジルの農業の発展などに大きな役割を果たしてきました。

再現された移民の住居には、昭和天皇と香淳皇后の肖像が飾られています。

訪問中、幅広い世代の日系人と交流し、各地で歓迎式典に臨まれた佳子さま。

「移住された方々とそのご子孫が、様々な困難に直面しながらも、日々努力を重ねてこられたことに、そして、ブラジルの社会に貢献してこられたことに、改めて深く敬意を表します」と述べられました。

日系1世や2世が暮らす、ブラジル初の日系人向け高齢者施設も訪問されました。

一人一人、手を握りながら目線を合わせ、「お体をお大事になさってください」などと声をかけられていました。

日本語の教育に取り組む学校では生徒たちがお出迎え。

生徒代表が「ようこそ大志万学園にいらっしゃいました。みんなで心からお待ちしていました」と日本語で挨拶し、ブラジルの「6月祭」のダンスなどが披露されました。

生徒の多くが日系5世だというこの学園。週3回の日本語の授業のほか、茶道や書道など日本文化も教えています。

会場には佳子さまを歓迎するため、保護者が手作りしたブラジルのお菓子が用意されていました。

生徒:
これは「ダジーニョ・デ・タピオカ」。タピオカとチーズを混ぜて、キューブにして揚げたものです。
外はカリカリで、中はモチモチしている。そして甘辛いソースと一緒に食べます。
佳子さま:
甘辛いソース…。
生徒:
甘辛いソースです。

伝統のお菓子を口にし、「本当に美味しかったです」と笑顔を見せられました。

ブラジル中西部・カンポグランデでは、小学生の日本文化の授業を見学された佳子さま。
「何を描きましたか?」「ムイント ベーン(とても上手)」などと声をかけ、子供たちが日本について学ぶ様子を笑顔で見守られました。
ご両親や姉の眞子さんも…ブラジルでの交流の歴史
皇室が長年にわたり続けてきた、ブラジルに渡った人々との交流。

上皇ご夫妻が初めて訪問された昭和42(1967)年、歓迎式典には8万人もの日系人が集まり、サンパウロの競技場は熱気に包まれました。

昭和57(1982)年、日系の農家や子どもたちと交流されているのは、当時22歳の陛下。
ブラジルは陛下が初めて公式訪問された国でした。

その6年後、秋篠宮さまの初めての外国公式訪問もブラジルでした。

外交関係樹立120周年を迎えた平成27(2015)年には、秋篠宮ご夫妻がご訪問。

移住110周年の年には姉の眞子さんが訪れるなど、節目の年に訪問が続いています。

佳子さまは、かつてご両親や眞子さんが植樹した同じ場所で、ブラジルの国の花・イペーを植樹されました。

滞在7日目、首都・ブラジリアの連邦議会を和服姿で訪問された佳子さま。

本会議場で行われた日本とブラジルの国交樹立130周年の記念式典に臨み「日本とブラジルの人々が、これからも交流をすすめ、寄り添いあう未来を思い描いております。大切な友人、アミーゴとして」と述べられました。

さらにルラ大統領を表敬訪問し、天皇皇后両陛下からの「両国の友好親善の一層の増進を願います」というメッセージを伝えられました。

リオデジャネイロでは日系団体の歓迎行事にご出席。地元の子どもたちがサンバを披露しました。

佳子さまは大きな拍手を送り「笑顔がすごく素敵で、足のステップもとても格好よかったです」と声をかけられました。

そして子どもたちに歩み寄って一人一人と握手を交わし、感極まって涙ぐんだ生徒を優しく抱きしめられました。
ブラジルでの交流振り返り…「これからもずっと心に残り続ける」
リオのシンボル・世界遺産「コルコバードの丘」。

佳子さまは大西洋を望む雄大な景色を眺めながら、今回の訪問について振り返られました。

佳子さま:
先ほど、この広大な海を朝日が照らす様子を見ながら、きょうまでお会いした方々のお顔を思い出しました。ブラジルでお会いした方々とブラジルでの出来事は、これからもずっと心に残り続けると思っています。

滞在最終日、世界三大瀑布(ばくふ)の一つ「イグアスの滝」に足を運び、自然保護の取り組みについて説明を受けながら、迫力ある滝と広大な熱帯雨林の絶景を楽しまれました。

11日間で8都市を巡り、多くの人と交流された佳子さま。130年にわたる日本とブラジルの歴史に触れ、友好の絆が若い世代にも受け継がれることを願われました。
(「皇室ご一家」6月22日放送)