今、関心が高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。6月1日から企業に対して職場での熱中症対策を取ることが義務付けられました。担当は中西記者です。
(中西源太記者)
「6月中旬(18日)にも関わらず、今週は岡山県内でも気温35度以上の猛暑日を記録しています。一体どんな夏がやってくるのか?心配になります。OHKライブニュースの気象キャスター・光岡香洋気象予報士によりますと、2025年の夏は長くて暑いそうです。25年は24年より半月ほど早く、猛暑日を記録しましたが、このまま暑さが続き、10月の中旬ごろまで残暑が続くということです。
近年、熱中症の死傷者数は増加傾向にあります。全国の職場での熱中症の死者数と、死傷者数(亡くなった人と4日以上休業をした人を足した数字)をまとめたものです。死傷者は24年、統計を取り始めてから最も多い1257人に上りました。死者数は31人で、3年連続で30人台で推移しています。
こうした事態を放置できないと、6月に「労働安全衛生規則」が改正され、職場での熱中症対策が義務付けられました。熱中症の「重症化予防」を重要視した内容になっています。義務化の内容と職場での最前線の熱中症対策を取材しました」
6月、岡山労働局は岡山県内の企業に向けてセミナーを開き、職場の熱中症対策の義務化について説明しました。「熱中症の自覚症状やそのおそれがある労働者を見つけた場合などの連絡体制を整備すること」「体を冷やして医療機関に搬送するなど、重症化を防ぐための手順を決め、それらを働く人に周知すること」などを求めています。対策を怠った場合は6ヵ月以下の拘禁刑、または、50万円以下の罰金が科せられます。
対象となるのは、「暑さ指数」が28以上か、気温が31度以上の環境で連続1時間以上、または1日4時間を超える作業です。暑さ指数とは、湿度や気温を組み合わせた指標です。
(岡山労働局健康安全課 貞宗恵治課長)
「特に最近、熱中症で重篤化する人や亡くなられる人が非常に多くなっている。それを一人でも減らすために早期発見・早期対応が重要になっている。その対応について省令の改正が行われた」
この改正を受け、新たな熱中症対策に取り組む企業もあります。
岡山市の総合建設業、荒木組が6月から導入を開始したウェアラブルデバイス「Smartfit(スマートフィット)」は、現場で作業する社員の心拍数や体温を確認し、早期に異常を検知できる機器です。
(荒木組安全課 山下雄輝副課長)
「体調を見える化するので、客観的に判断できる。(体調不良者の)見落としが是正されるメリットがある」
Smartfitは遠隔で一人一人の作業員の状態を把握。熱中症のリスクを「危険」「注意」「ほぼ安全」の3段階で表示して作業員の体調変化を指数化することができます。
(荒木組安全課 山下雄輝副課長)
「建設現場は広いので、物陰にいたり一人でいたら発見が遅れてしまう。機器を導入して(異常があれば)管理者や責任者に通知が飛ぶ」
現場ではこれまでに、経口補水液などを作業員に支給したり、空調の設置された休憩室を設けるなどの熱中症対策を行ってきました。さらに熱中症への対応を示したポスターなどを掲示して作業員に対応を周知する動きも進められています。
(荒木組安全課 山下雄輝副課長)
「熱中症り患者ゼロが最大の目的。この夏もみんなが無事に健康に仕事を終えて家に帰ることを目指していきたい」
(中西源太記者)
「厚生労働省によりますと、熱中症で死亡した人は体温が高く意識がもうろうとするといった初期症状の放置や、医療機関への搬送などの対応の遅れがほとんどです。また、熱中症の死傷者を業種別で見た時に建設業や製造業など屋外で作業する業種が大半を占めています。VTRで紹介したような、ITを活用した熱中症対策グッズは続々と登場しています。
例えばこちらのヘルメットです。額の温度などを計測して熱中症の危険度が高まるとランプが点滅します。連動して、周囲のヘルメットも点滅するので、周りにの人に状態を伝えることができます。また、こちらのセンサーを搭載したベルトは、心拍データを読み取って、体調に変化があった時に通知してくれます。
職場の熱中症対策は自分の身は自身で守るという自己管理形から、ITを駆使して組織的に管理する形に進化しているようです。こうした対策が、安心できる職場環境につながると感じました」