2025年も活発な梅雨前線の影響でたびたび大雨に見舞われている鹿児島県。6月11日未明、土砂災害警戒情報を知らせる携帯電話の緊急速報の大きな音に驚いた人も多いのではないか。本格的な雨のシーズンが続く中、避難の在り方について考えてみた。

断続的に続く大雨の中 未明に土砂災害警戒情報 そして避難指示

2025年5月16日、全国で最も早く梅雨入りが発表された九州南部。6月に入り、9日午後7時過ぎには、大隅半島で一時的ながら線状降水帯が発生した。

梅雨前線の北上で雨はいったん弱まったがその後も断続的に各地で大雨となった。11日午前1時過ぎの気象レーダーは、線状降水帯こそないが、帯状に発達した雨雲が、東シナ海から薩摩半島方面にかかる様子をとらえていた。鹿児島県と気象台は午前1時15分、鹿児島市、日置市、南さつま市に土砂災害警戒情報を発表。そして午前2時、南さつま市の約2900世帯・5840人に、午前3時30分、鹿児島市の約2万5000世帯、約4万7000人に避難指示が出された(いずれも市内の一部地域)。

専門家「避難指示発表のタイミングが遅かった」

鹿児島市では、土砂災害警戒情報の発表から避難指示が出されるまで、2時間以上のタイムラグが発生している。鹿児島市は「避難所開設に時間を要したため」と説明しているが、防災に詳しい鹿児島大学・井村隆介准教授は避難指示発表のタイミングが遅かったと指摘する。

鹿児島大学・井村隆介准教授
鹿児島大学・井村隆介准教授
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鹿児島大学・井村隆介准教授:

「行政としては地域の特性を考えて、気象情報を待たないでもっと早く、10日夕方くらいに判断できたのではないか。それによって避難所がいくつか開設されれば前もって自主避難した人が出てきたかもしれない」

専門家が教える「避難指示にしっかり対応を」

周りがよく見えない深夜の避難は危険を伴うこともある。鹿児島市からの避難指示には「避難が危険な場合は、がけや川から離れた場所や屋内の高い場所に移動して身の安全を確保を」という一文が添えられている。今回のように深夜や未明に避難指示が出されたら私たちはどう行動すべきなのか。

鹿児島大学・井村隆介准教授:

「災害に遭うリスクがある人はいつ避難指示が出ても、逆に言うと避難指示が出ていなくても、自分たちで考えて行動しないといけない。朝3時に(避難指示が)出されて暗い中で行動するのはまずい。とりあえず2階に行こう、明るくなってから避難所に行こうというのもOK」

その上で井村准教授は「とりあえず2階に行っておこうというだけであり、それは『まだ避難していないよ』という自覚はもってほしい」と、避難指示にしっかり対応すべきと話した。

梅雨シーズンの備え、今からできること

1. ハザードマップの確認 - 自宅周辺の危険箇所、避難場所、避難経路を事前に把握しておく

2. 非常持ち出し品の準備 - 食料や水、貴重品などをすぐに持ち出せるようにしておく

3. 停電対策 - ラジオやスマートフォンのバッテリー、懐中電灯を用意しておく(特に深夜の避難には必須)

雨のシーズンはこれからも続く。災害に備えるため、できる備えは万全にしておきたいものだ。

(鹿児島テレビ)

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鹿児島テレビ
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