島根・出雲市の保育園の駐車場で、6月2日に1歳の男の子が車にはねられ死亡する事故が起きた。なぜ痛ましい事故は起きてしまったのか…繰り返さないためにドライバーが気を付けるべきポイントを取材した。

6月2日朝に出雲市斐川町の保育園の駐車場で起きた痛ましい事故…。
朝の通園時間帯に駐車場を1人で歩いていた1歳の男の子が、普通乗用車にはねられ死亡した。
同じ保育園の保護者の女が、園に子どもを送り届けたあと、職場に向かうため車を発進させた際に男の子をはねたとして、その場で逮捕された。
痛ましい事故を繰り返さない…車の特性を理解し注意点を確認

こうした悲しい事故を起こさないためには、車の構造上の特性を理解する必要がある。
JAF(日本自動車連盟)の制作した実験動画。運転席からドライバーが正面を向いた際の視界では、ダッシュボードやピラー(柱)のため、フロントガラスの横や下に見えない部分があることが分かる。

そしてそれらの部分を消してみると…フロントピラーの先には自転車、フロント部分に小さな子ども、左側には三輪車に乗った子どもが隠れていた。
JAF島根支部・大谷海璃さん:
例えば車の前方、車の近くの低い位置だと、しゃがんだり、小さなお子様の背の高さだと運転席から見えなくなってしまいます。

TSKの取材に対応したJAF島根支部の大谷さんは、車の前方だけでも様々な方向に見えない部分「死角」があることを指摘した。
特に注意すべきだとしているのが、運転席から見て左の前方だ。人がしゃがむと車の陰に隠れてしまい、全く見えなくなってしまう。
ドライバーは、車の「死角」に潜む危険に注意を向けなければならない。
車に乗る前のチェックと「かもしれない運転」で危険回避を
JAF島根支部の大谷さんは「車に乗る前に周囲を一回まわって、障害物や人がいないか確認すること。運転席のシートやミラーの位置を調節して正しい運転姿勢をとること」だと話し、車を運転する前に周囲をチェックしたり、正しい運転姿勢をとって十分な視界を確保することを呼びかける。

そして運転中のポイントして挙げたのが「かもしれない運転」だ。常に進行方向に人や障害物があったり、飛び出してくるかもしれないという、周囲に潜む危険を予測しながら運転することが大切だと語った。
死亡事故を受け県内の全保育施設に注意呼びかけ
今回の事故を受けて島根県は2日、県内すべての保育施設に同様の事故が起きないように注意を徹底するよう促す文書を配布した。
松江市にある「たまちこども園」では早速対策を取っていた。
たまちこども園・野津敏子保育教諭:
「徐行運転をお願いします」、「お子さんと手をつなぎ、目を離さないでください」というものを、駐車場内の保護者の目に届くところに掲示しています。

たまちこども園の野津教諭によると、2日の夕方には、園の駐車場内に注意を促す張り紙を複数掲示したという。また文書でも改めて保護者に注意を呼びかけることにしている。
たまちこども園・野津敏子保育教諭:
手を離さないで、目を離さないで乗り降りしてもらうということを保護者に改めてお伝えしています。

ある保護者は、「朝の登園は、子どもを送り届けてから仕事場に向かうなど、非常に慌ただしい時間だ。特に週明けは保育に必要な手荷物も抱えながら子どもを連れて行かなけれればならず、一瞬注意が離れしまうことも少なくない」と話す。
子どもを事故から守り、自身も事故を起こさないために、ドライバーや保護者の注意が欠かせないのは言うまでもない。
(TSKさんいん中央テレビ)