天皇皇后両陛下は6月9日、32回目となる結婚記念日を迎えられた。
32年前の1993年6月9日当日に行われた「結婚の儀」や「朝見の儀」そして「ご結婚パレード」。両陛下のご様子を取材した平成5(1993)年6月12日放送「皇室ご一家」(第724回 皇太子・同妃両殿下 結婚の儀)を振り返る。
なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載し、天皇皇后両陛下をそれぞれ「皇太子さま」「雅子さま」。上皇ご夫妻をそれぞれ「天皇陛下」「皇后さま」と記載する。
「結婚の儀」当時の早朝 小和田邸前では…
6月9日午前6時30分、小和田雅子さんは家族に別れを告げ、降りしきる雨の中、皇居へ向かいました。

前夜、雅子さんは最後の夜を家族と共に過ごし、この日の朝は午前4時過ぎには起床したということです。

雅子さんから父親の恒さんに贈られたカードには「長いことありがとうございます。胸がいっぱいで何も書けなくてごめんなさい」と書かれていたそうです。

皇太子さまは午前9時過ぎ、やや緊張したご様子で東宮仮御所から皇居へ向かわれました。

宮中三殿・賢所で行われた「結婚の儀」
午前10時、およそ800人の参列者が見守る中、宮中三殿・賢所で『結婚の儀』が厳かに行われました。

暁の太陽の色とされる黄丹袍(おうにのほう)に、黒の垂纓(すいえい)の冠をかぶり、手に笏(しゃく)を持たれた皇太子さまは、東回廊をゆっくりと進まれます。

十二単にお垂髪(すべらかし)の雅子さま。緑の唐衣(からきぬ)にはクチナシの紋様、手には皇后さまから譲り受けられた檜扇(ひおうぎ)をお持ちになっています。

賢所の内陣まで進まれたお二人は、神前にご拝礼。
続いて、皇太子さまは告文(つげぶみ)を大和言葉で読み上げられます。

この後お二人は外陣に下がられ、掌典長(しょうてんちょう)のお酌で神酒(しんしゅ)を干され、この時、お二人のご結婚が成立。

雅子さまは、晴れて妃殿下となりました。
雅子さまのご両親が記者会見
《父・小和田恒さん 会見》
きょう結婚の儀に参列いたしまして、ここに至るまでのいろいろなことを思い起こして、感無量なものがございました。きょうから、娘は皇太子妃という公の立場に身を置くことになるわけでございます。それには、大きな責任が伴う訳でございますけれども、親としては、ぜひ、この大きな責任を立派に果たすように努力して欲しいという風に心から願っております。

《母・優美子さん 会見》
私はもう、胸がいっぱいでございました。1月以来、我が娘でありながら、大切なお預かりものをしているという気持ちでずっと過ごして参りましたので、おかげさまできょう無事にこうして結婚の儀を終えることができまして、私はまた一面ほっとしているというところでございます。
天皇・皇后両陛下に謁見する「朝見の儀」
「結婚の儀」を終えられた皇太子さまと雅子さまは、この日の午後、皇居・宮殿・松の間で「朝見の儀」に臨まれました。

《皇太子さま おことば》
本日は「結婚の儀」を挙げていただき、誠にありがとうございました。これからは二人して、皇族としての責務を果たすよう努力して参る所存でございます。ここに謹んでお礼を申し上げます。

《天皇陛下 おことば》
めでたく「結婚の儀」を済ませ、喜ばしく思います。今後は睦まじく、互いに心を合わせて家庭を築き、国や社会のため、また人々の為に、皇太子、皇太子妃としての務めを立派に果たしていくよう希望します。

《皇后さま おことば》
この度は、おめでとう。お二人の幾久しいお幸せと東宮の御栄えを祈ります。
いよいよ ご結婚パレードへ
朝からの激しい雨も上がって、時折、薄日も差し始めた午後4時40分。皇太子さまと雅子さまは「祝賀パレード」に臨まれる為、宮殿・南車寄せへ。

ローブデコルテに勲一等宝冠章をおつけになった雅子さま。

えんび服に大勲位菊花大綬章の皇太子さま。

日本中が待ち望んだ「祝賀パレード」のスタートです。

日の丸の小旗が振られる沿道では、およそ19万人の人々から「おめでとうございます」の大歓声。その祝福に、お二人は手を振り笑顔でお応えになります。

《ご結婚パレードのテレビ中継実況》
「バンザイ、バンザイ」そして「おめでとうございます」の声が轟いています。まもなく上智大学前。そしてこの先は四谷見附から迎賓館前へと、いよいよパレードもゴールが近づいて参ります。

6年越しの恋を実らせ、最良の日を迎えられた皇太子さまと雅子さま。
どうぞ、末永くお幸せに。
(「皇室ご一家」第724回 平成5年6月12日放送)