北海道札幌市内の小学校は5月31日に運動会のピークを迎える。
みんテレは札幌市内100の学校にアンケートを実施。
令和の運動会ではあの「花形競技」がほぼ姿を消していることが分かった。
「じゃあ、そのポーズで行きます」(コーチ)
5月22日、札幌市で「走り方教室」が開かれ元陸上の選手が子どもたちに走るコツを指導した。

「教えてもらったことを意識して1位を取りたいと思います」
「足速い人が2人いるんだけど、その人たちを追い抜かすように、きょう習うことを頑張りたいと思います」(いずれも小学生)
ライバルに勝ちたいという、子どもたちの「競争心」に火が付いていた。

5月24日を皮切りに札幌市で始まった運動会。
子どもたちは日頃の練習の成果を発揮し、「勝つ喜び」をからだいっぱいに表していたが…

「こちらがこの学校の運動会のプログラムです。種目を見てみるとリレーの文字はどこにもありません」(関根弘貴記者)
札幌市厚別区のこの学校で実施されたのは短距離走の他、ダンスなどの「表現」、綱引きなどの「団体競技」のみ。
リレーは行われなかった。
「小学校生活1回はリレーをやりたかったなぁっていう感じです」(小学校6年生)

かつて、リレーは小学校の運動会で「花形競技」だった。
選ばれた選手はもちろん、懸命にバトンをつなぐ子どもたちの姿に保護者も熱中。

札幌市内の小学校にアンケートをとってみると…
みんテレは札幌市内の小学校100校にアンケートを実施。
その結果、2025年にリレーを行うのは全体の約2割、19校のみ。
そのうち13校が「全員参加」のリレー、クラスの代表による「選抜リレー」は6つの学校だけだった。
さらにこの6校のうち2校は練習時間が取れないなどの理由で、リレーを行うのは2025年が最後だとしている。
「運動会」という名称も「体育発表会」や「スポーツデー」などに変えた学校が22校。
勝ち負けを決めない学校は、52校に上った。
背景にあるのは「学習指導要領」

時代とともに変化する“運動会”
「(学習指導要領に)多様性とか合理的な部分の配慮とか、そういうものがだいぶ出てきておりまして」(教育評論家 石川幸夫さん)
学習指導要領には「いたずらに勝負にこだわることなく、一部の児童の活動にならないように配慮することが必要」との記載が。
コロナ禍で運動会そのもののあり方を見直した頃から、この言葉に基づきリレーの中止が増えていったということだ。
「今、教育の世界ではものすごくよく言われる『自己肯定感』という言葉があるが、競争心そのものは『自分に向けていく内なる競争』であって、『他者との比較』ではない。ここがやはり一番肝心な教育的指導ではないのかなと思います。(さらに)先生たちの負担軽減。こういうものが全部重なってくると『新しい形の運動会』っていう捉え方にどうしてもなっていきますね」(石川さん)

街の声は…
街で話を聞くと受け止め方はさまざまだった。
「(競わないのは)不思議だね。やっぱり競争しないと、優れた力は生まれないと思いますね」(60代男性)
「(リレーが)なくなるのはちょっと寂しいっていう気持ちは自分もありますね」(女子高校生)
「(リレーは)無くても別にいいと思います。別に争わなくていいかなと思って。コロナ後のこの短縮した感じが今に合ってるんじゃないかなって思います」(保護者の40代女性)
令和の時代に大きな変化を見せる運動会。
北海道札幌市では5月31日、144校が実施し運動会のピークを迎える。
