6月1日から熊本市電の運賃が値上げとなる。熊本市電では全国交通系ICカードについても継続か廃止か検討が続いているが、運賃値上げと支払い手段、利用者を取材していたら意外なことが分かった。
6月1日から均一運賃が200円に
熊本市電は6月1日から、現在180円の均一運賃が20円アップして200円となる。利用者の学生は「高いし(影響が)大きいですよね」や別の利用者は「しょうがない。まあバスより安いから」などと話す。

熊本市交通局の試算によると、今回の値上げで今後3年間の赤字が約5億円削減できるとしているが、マイナス収支は続き、熊本市交通局へは2025年度も熊本市の一般会計からの繰り入れが予定されている。

熊本市交通局は乗務員の処遇改善や設備の更新に取り組む方針で、熊本市交通局・総務課の北添友子課長は「〈真摯に安全に対して取り組む姿を見ていただくしかない〉と思っている。そうじゃないと理解は得られないという覚悟をもって(取り組む)」と述べた。
どうなる全国交通系ICカード決済
一方で、熊本県内のバスと熊本電鉄では2024年11月から全国交通系ICカードが使えなくなった。

高額な機器更新費用がネックとなり、熊本市電もいったんは全国IC廃止の方針を示したが、市議会からの要請を受け再検討している状況。

熊本市交通局によると、5月初めに国交省から「全国IC決済機器の単純更新でも費用の3分の1を補助する」という通知が来たという。熊本市は「利用者の意見なども聞き、結論を出したい」としている。
『現金払い』の裏には「IC決済使えない」
5月29日に利用者に現在の支払い手段を聞いてみると意外なことが分かった。

熊本市電を利用する女性は『現金』を使っていると言い、理由を聞いてみると「交通系カードが使えないということだったから」と答えた。熊本市電は全国交通系ICカードが使えることを伝えると驚いていた。

また、福岡から訪れた男性は「交通系ICが使えないと聞いたので現金」と答え、同じように熊本市電はICカード使えることを伝えると、「使えないと思ってました」と正しい情報を知らなかった様子だ。

バスと熊本電鉄では2024年11月から全国ICは使えないが、熊本市電も使えないと思っている人が多いようだ。
全国交通系ICに次いで現金、くまモンIC
現在の利用者の運賃支払い手段の状況を市交通局に聞くと、熊本市電で一番多いのは全国交通系ICで34.5%。

そして2番目が現金で23.8%、3番目が地域限定型のくまモンのICで15.8%、クレジットカードによるタッチ決済が6.9%などと続く。

全国ICは使えないと思い込んで現金で支払っている人が多いかもしれない現状も見えている。乗客の利便性やニーズをとらえた判断がどうなるのか注目される。
(テレビ熊本)