仕事のこと、家族のことなど…ストレスはさまざまなことで積み重なっていく。
そしてコップにたまる水のように、そこからあふれてしまうと、人によってはパニック発作などが起きることもあるという。
パニック障害を患った経験がある鍼灸師の影森佳代子さんは、これまで2万人以上の患者を改善に導いてきた。
著書『影森式 パニック障害改善メソッド セルフワークBOOK』(河出書房新社)は、活字を読むのが辛い人も音声を聴くだけでメソッドがわかるようにもなっている。そこから、パニック障害を発症する中でも多い「がんばり屋さん」に向けて、心をほぐすメッセージとそうならないために日頃からできることを紹介する。
ちゃんとしなくていい!
パニック障害で悩む患者さんをたくさん診(み)てきた経験から、パニック障害を発症する人の多くは、まじめで責任感が強く、弱音を吐かずに頑張る人が多いと感じています。
また、「気を強く持てば克服できるはず」と、恐怖や不安と闘ってしまう人も少なくありません。「電車に乗れないなんておかしい。頑張ってなんとかしなくちゃ!」と、できない自分を否定し、なんとかして以前の自分に戻ろうとあがいてしまう人もいます。
みなさんも、程度の差はあっても思い当たることがあるのではないでしょうか。

「自分はダメな人間だ」と責めること、「もっと頑張らなくちゃ」と気負うこと、「強くなろう」とすること、「ちゃんとしよう」と過度にプレッシャーをかけること――それらを少しずつ手放していきましょう。
「私は今のままでいいんだ」と自分のことを受け入れてあげてください。それが、パニック障害から抜け出す第一歩になります。
パニック障害を発症した人は、「自分はこのままおかしくなってしまうのではないか」「死んでしまうのではないか」と思うほどの恐怖を体験することがあります。
それほどの強い恐怖を感じると脳は拒否反応を示し、「そこにいてはいけない!」と指令を出すようになります。