5月21日夕方、長野県須坂市で走行中の長野電鉄の車両に農業用のパイプ製の小屋が衝突し、乗客3人が死傷した事故。けがをした男性がNBSの取材に応じ、事故発生時の状況や直後の緊迫した車内の様子を語った。隣に座っていた男性が死亡していて、「二度と同じことは起きてほしくない」と話している。
「頭にガラスの破片が刺さった」
「ガラスがバーンと一面に散っていた。後頭部にガラスの破片が刺さったので、それで血が出た」
事故発生時の状況を語る男性(65)。21日に発生した長野電鉄の事故のけが人の1人だ。

22日、NBSの取材に応じ、事故発生時の緊迫した状況を語った。
21日午後6時前、須坂市の日野駅の手前を走行中の長野電鉄の列車に金属製のパイプの小屋が衝突した事故。
長野市の会社員の56歳男性が死亡し、男性2人が頭に軽いけがをした。
「何が起きたかわからなかった」
取材に応じた男性は21日、勤務先からの帰宅途中で事故に遭った。
男性は「列車が来る前にすごい横殴りの雨が、雹も降ったかな。プラットホームにいられなかったので、私もびちゃびちゃになって雨具に着替えたくらい」と当時の天候の状況を話した。

男性はその後、3両編成の普通列車の先頭車両に乗り込み、進行方向右側の前方の席に座っていた。

そして…
「割れた瞬間の風圧で(体が前に)持っていかれたんだよ。何が起きたかわからなかったけど、すごいことが起きたなっていうことだけわかりましたね」と男性は事故発生時の状況を語った。
「ドクター、看護師が心臓マッサージ」
日野駅の手前で風で飛ばされたとみられる金属製のパイプの小屋と列車が衝突。
男性は割れた窓ガラスの破片で頭にけがをした。

そして、横を見ると…
「(隣の人が)仰向けになって、倒れてて、血がばーっと流れていたんで、シートにね」
男性の左隣に座っていたのが亡くなった男性(56)で、大量に出血し、意識のない状態で倒れていたと言う。
「乗務員の方が、『医療関係の方いらっしゃいますか』っていうようなアナウンスがあって、それで、看護師の方とドクターの方が1人いらっしゃって。(Q.心臓マッサージ)そう。(Q.倒れてる時、意識は)全く無かったと思いますね」と、男性は事故直後の車内の緊迫した状況を語った。
「二度と同じことか起きないで」
同じ車両に乗っていた男性も、事故後の様子を目撃していた。
「『救急車呼んでくれ』って声が聞こえて、車内は騒然とした雰囲気、いすの背もたれを取って、それを床に置いて看病とかしていたんじゃないか。まさかそんなものが飛んできて、ガラスとかが割れて、亡くなる方が出てしまうなんて思ってもいなかったんで」と当時の状況を振り返る。

一人の命が失われた今回の事故。
警察が原因の捜査を進めるとともに、国の運輸安全委員会も調査を進めている。
けがをした男性は「二度と同じことが起きて欲しくないなとは思います、1番はね」と話した。
(長野放送)