走行中の長野電鉄の車両に農業用の小屋が衝突し、1人が死亡、2人がけがをした事故から6月21日で1カ月。小屋は突風によって飛ばされたとみられている。小屋の所有者の男性がNBSの取材に応じ、小屋は事故の1週間ほど前に自分で建てたもので、「風で飛ばされるとは思わなかった」などと話した。
列車に金属製のパイプ小屋が衝突
5月21日午後6時前、長野県須坂市の日野駅の手前を走行していた長野電鉄の車両に金属製のパイプの小屋が衝突した事故。男性1人が死亡し、2人が頭に軽いけがをした。

事故でけがをした男性(5月22日取材)は「ガラスがバーンと一面に散っていた。後頭部にガラスの破片が刺さったので、それで血が出た」と話した。
線路脇の小屋が突風で飛ばされたか
事故当時、県北部には「竜巻注意情報」が発表され、事故現場付近も風雨が強まっていた。気象台は、現場周辺では風速30メートルと推定される突風が吹いたとしている。衝突した小屋は、線路脇に建てられていたもので、突風によって飛ばされたとみられている。

事故でけがをした男性は当時の状況について、「割れた瞬間の風圧で(体が前に)持っていかれた。何が起きたか分からなかったが、すごいことが起きたなっていうことだけ分かりました」と語った。
小屋は40代男性が自分で建てる
事故から6月21日で1カ月。
小屋を所有していた40代の男性が19日、NBSの取材に応じた。
小屋は事故の1週間ほど前に農業用トラクターを保管するために自分で建てたものだという。

男性によると、金属製のパイプと波板を針金などで固定しながら組み立てたもので、幅・奥行き4メートル、高さは2~3メートルほど。パイプは30センチほど掘った穴に大きな石を置き、そこに立てていたという。
「風で飛ばされるとは思わなかった」
男性は事故当時、別の畑で作業をしていて、警察からの連絡で事故を知ったといい、「小屋は重たく、風で飛ばされるとは思わなかった」と話した。
6月上旬には須坂警察署で、小屋を再現して当時の状況を調べる実況見分にも立ち会ったという。男性は「二度と同じようなことは起きてほしくない」と話している。

事故原因については、国の運輸安全委員会が現地調査をしていて、1年以内に調査報告書をまとめる方針だ。
また、警察も関係者に事情を聞き、風速計を調べるなどして、当時の運行や事故の詳しい状況を調べている。
事故を受けて、県もビニールハウスや農業用倉庫の補強、留め具の点検などの徹底を呼びかけている。
(長野放送)