気温や湿度が高く、熱中症に注意が必要な季節となった。2024年、全国では1000人を超える人が熱中症で4日以上休むなど、深刻な労働災害の一つとなっている。熱中症対策の強化に向けて2025年6月に法律が改正される。
ペットボトルを開けられない…これって熱中症?!
外壁のメンテナンスなどを担う「日本ビソー」の長崎製作所で、21日、熱中症についての説明会は開かれた。集まった作業員などは熱中症の症状や注意点を確認した。

「ペットボトルを開ける」という動作も熱中症かどうかを見極める一つとなる。長崎産業保健総合支援センターの黒崎産業医は「ペットボトルを開けるのは実は結構力もいる。これができないというのは、ちょっとまずい状態だと思ってください」と説明した。

熱中症になると、数分後には意識がなくなることがある。黒崎さんは「絶対に目を離さない。おかしいと思ったら必ず誰か付き添ってください」とも話す。

2024年、熱中症による労災は全国で1195人と過去10年間で最も多い。このうち30人が死亡した。長崎県内でも、建設業や製造業などで24人が「労災」と認定されている。
6月1日、熱中症対策が法律で義務化
職場での熱中症の重症化を防ぐため、6月1日に「労働安全衛生規則」が改正される。

事業者は熱中症が疑われる場合、本人や気付いた人に報告させる体制を整えること、症状を悪化させないために必要な措置や手順を定めること、これらをあらかじめ従業員に周知することが義務化されるのだ。

事業者が怠った場合、6カ月以上の懲役、または50万円以下の罰金となるおそれがある。
熱中症の見分け方を知っておくことも大切だ。

手足がつる、めまい、吐き気、汗のかきかたがおかしい、ボーっとしているなど様々だ。ただ、軽症の段階から自己判断能力が低くなり、気付かないうちに進行しているケースもある。周りの人も「いつもと違うな」と思ったら声かける必要があるが、何より「予防」が大切となる。

また、寝ている間に汗をかいたり、朝、トイレに行ったりして500mlの水分が失われるといわれ、起きたときはすでに軽い脱水状態となっている。

そのため、・朝食は抜かない、三食食べる・睡眠と休養をしっかりとる(体温調整に影響)・軽い運動で上手に汗がかける体をつくる・体調不良のときは無理をしないなど熱中症にならない生活を心がける必要がある。
最新の熱中症対グッズを知っておこう!
説明会では救護訓練も行われた。症状が軽い場合は氷のうで首や脇、太ももを冷やすなど適切な処置を学んだ。また、最新の熱中症対策グッズも紹介された。

ヘルメットにセンサを装着し、作業場の温度や湿度、作業する人の脈拍などの異常を検知することができるという。日本ビソー長崎製作所の中村裕介 所長は「クラウドを利用した形で、作業者の意識とは別に、離れた管理者に連絡がいくというのが、すばらしいなと感じた」と話す。

長崎地方気象台によると、8月にかけての気温は平年より高くなる見込み。命を守るために、早めの熱中症対策が必要だ。
(テレビ長崎)