事前の情報収集と対策
(5)認知症になっても財産管理ができる方法を学んで対策をする
介護が必要になったら親自身はどうしたいのか。自宅で過ごしたいのか、施設などに行きたいのか、その費用はどう用意するのか。財産管理は誰にさせていくのか、等。親の意向を聞き、事前対策の方法を家族で学び、話し合い、共有しておくことが重要だ。
例えば親が元気なうちに子供に財産を預ける「家族信託」や、判断能力がなくなった場合に必要となる「成年後見制度(法定後見制度や任意後見制度)」などを利用するという方法の知識も含めて家族で情報を共有しておき、実際に対策を講じておくことはとても重要になる。
「親の意向については、『エンディングノート』などを活用して、親の意思を確認するのもいいのですが、親に『書いておいてね』とお願いしても、なかなか1人では書きづらいもの。家族が集まったときに項目ごとに聞き出してメモしていく、『ヒアリングシート』の形式でもいいと思いますよ」
大切なのは、なるべく親の変化に気を配り、介護のスタートを遅らせること。そして、いざというときに備えておくこと。そのためにも、元気なうちにやれることから始めていこう。
安田まゆみ
東京・銀座の「元気が出るお金の相談所」所長。CFP認定者(国際資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)。FP歴29年。女性を応援する「マネーセラピスト」として、これまでの相談件数は8000件以上、講演回数は1000回を超える。一男一女を育てあげた後、実父と義父を看取り。2021年に突然の母を失い、2023年には15年認知症を患い介護をしていた義母を見送った。著書に『もめないための相続前対策: 親が認知症になる前にやっておくと安心な手続き』(河出書房新社)、『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ社)など多数。
取材・文=川口有紀