財産・住居関係

(1)預金・貯金口座からお金を下ろせなくなる

たとえばATMで暗証番号を何度も間違えたり、窓口で「暗証番号がわからなくなった」「キャッシュカード・通帳を紛失した」という問い合わせを繰り返すようになると、金融機関は本人の判断能力が著しく低下したと判断して口座を「凍結」させる。

なおこの場合の「凍結」は「口座の取引を大幅に制限する」という状態で、具体的には入出金や振込み口座への振込み、カード等の再発行や定期預金の契約・解約などができなくなる。年金などが振り込まれていても、口座から生活費を引き出すことはできないのだ。

ただし、金融機関にもよるが、既に契約されている引き落としや他からの振込み(家賃の支払いや配当金を受け取るなど)はそのまま行われる事が多いようだ。

何度も暗証番号を間違えたりキャッシュカードを紛失すると口座が「凍結」されることも(画像はイメージ)
何度も暗証番号を間違えたりキャッシュカードを紛失すると口座が「凍結」されることも(画像はイメージ)

(2)不動産や資産運用商品の売買、賃貸契約など契約行為ができなくなる

認知症になると契約や変更などの「法律行為」全般ができなくなる。

例えば、親自身は「いつか介護施設に入るときには自宅を売却してそのお金を使おう」と思っているかもしれない。しかし認知症になってしまうと、本人所有の不動産の売買ができなくなる。

また、賃貸物件を所有している場合などは、新規入居の契約等もできなくなるので、賃貸経営に影響が出る。

そのほか、資産運用商品の売買や処分、生命保険の加入や解約、死亡保険の請求手続き、生前贈与など、生活やお金にまつわるあらゆる「お金」の手続きができなくなる。