新潟県五泉市の中学3年生が理科の実験で使用した水酸化ナトリウムを「お菓子」と偽って下級生に食べさせ、2人が、口の中をやけどした。24日には学校で保護者への説明会が開かれる中、専門家は学校での管理の重要性を指摘している。
「お菓子だよ」下級生に“水酸化ナトリウム”食べさせる
五泉市の中学校で問題が発生したのは4月17日。3年の生徒が理科の実験で使用した水酸化ナトリウムを紙に包んで下級生2人にお菓子と偽って食べさせたのだ。

2人はすぐに吐き出したが、帰宅後に受診した医療機関で口の中をやけどしていると診断されたという。
この事態を受け、24日に学校で保護者への説明会が緊急で開かれた。
3時間続いた説明会を終え、出席した保護者からは「水酸化ナトリウムを粒で持ち出して、それをお菓子の袋に入れて、『お菓子だよ』と言って渡してなめさせたと。納得はできない。通わせるのはちょっと心配」「とにかく保護者は不安でしょうがないと。先生たちは見守って安全を守りますという感じ」などと不安の声が広がっていた。
“劇薬”の水酸化ナトリウム 皮膚を溶かし失明の恐れも…
理科の実験で一般的に使用される水酸化ナトリウム。

新潟薬科大学の中村豊教授は「強いアルカリ性で劇薬に指定されている」と説明。
長岡技術科学大学・大学院の斎藤秀俊教授は「強アルカリは皮膚を溶かす性質がある。特に水酸化ナトリウムは水を吸いやすい薬品。水を吸って少しヌルヌル状態になった感じで皮膚に触ると、皮膚がだんだん溶かされていく。水酸化ナトリウムが間違って目に入ってしまったといったような場合には、目の失明につながるような、そういった腐食が起こる可能性がある」とその危険性を指摘する。
実験中に生徒が持ち出す…“厳格な管理”が必要
また、水酸化ナトリウムを扱う際には、「素手で触らない」といった指導が必要だと強調。

薬品庫に鍵をかける、出し入れの記録を取るなど厳格な管理が求められるという。
しかし、学校側から保護者への説明では、「学校側に落ち度があるような話はないと言っていた。理科室のちゃんとした場所に保管していた」(出席した保護者)と話していたという。
それでも、実験中に生徒が水酸化ナトリウムを持ち出したことで問題は発生している。
斎藤教授は「やはり中学校という教育現場において、その薬品の保管を誰が責任を持つのかということこれが第一にあるべき」と話す。
一歩間違えたら大ケガにつながりかねない今回の事案。決して悪ふざけでは許されない行為だ。
五泉市教育委員会は警察と連携し、今後、調査結果を保護者に提出するとしている。
(NST新潟総合テレビ)