キャッシュレス化が進んでいる昨今、現金をほとんど持たず、クレジットカードや電子マネーなどのモバイル決済を日常的に使っている人は増えているだろう。

現金よりもキャッシュレス決済のほうが無駄遣いしやすいイメージがあるが、中でも一番無駄遣いしやすいのがクレジットカードだという。

賢い使い分けについて、消費者行動論を専門とする名城大学経営学部教授・中川宏道さんに教えてもらった。

手間がかかるほど“実感度”が高い

「結論から言うと、現金と比べて、クレジットカードや電子マネーなどのモバイル決済のほうが浪費しやすくなると考えられます。

行動経済学者であるソマンが2013年に発表した論文によると、支払いの実感度は“身体的努力”を要するほど高くなるとされています」

商品価格に合わせて異なる額面の硬貨や紙幣を数えて支払う現金は、“身体的努力”が多いため実感度も高くなる。一方、クレジットカードやスマートフォンをモバイル端末にかざすだけで支払えるキャッシュレス決済は、身体的努力の少なさに比例して実感度も低くなる。

モバイル決済は“身体的努力”
モバイル決済は“身体的努力”
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「さらに、支払い額や支払い時期の遅さも実感度に影響します。支払い額が低く支払い時期が遅いほど、実感度は低くなるので、買い物と支払い時期にタイムラグがあるクレジットカードで小額の買い物をすると、もっとも実感度が低くなると言えます」

実感度と痛みは比例

そして、支払いの実感度が高いほど“支払いの痛み”が大きくなるという。