「家賃や水道光熱費、携帯電話料金など、定期的に支払うものはクレジットカード払いでいいと思います。『クレジットカードで後払いにできるから、好きなだけ使おう』という感覚にはならない支出ですよね」
家電や家族旅行などの大きな買い物も、キャッシュレス決済で支払うのが効率的だという。ある程度予算を決めて買うもので、キャッシュレス決済だから高いものを選ぶという判断になりにくいからだ。一気にポイントを貯められるのも利点といえる。

注意すべき支出は「嗜好品」。お酒やスイーツ、外食、推し活グッズなどの代金をキャッシュレス決済で支払うと、無駄遣いにつながりやすいそう。
「キャッシュレス決済は手元に現金がなくても支払えるので、好きなものを際限なく買えてしまいます。例えば、お酒を飲みに行った際、つい『もう1杯』と頼んでしまうでしょう。現金払いであれば、『もう財布にお金がないからやめよう』とセーブできます」
お小遣いはあえて現金で
子供にお小遣いを与える際も、あえて現金にしたほうが教育になるとのこと。
「お金は使うとなくなるものと学ぶことができるでしょう。デビットカードやチャージ式の電子マネーでも、同じ効果は期待できると思います。クレジットカードやオートチャージの電子マネーは使いすぎてしまうので、要注意です」
効率的かつスピーディーに支払えるキャシュレス決済だが、無駄遣いのリスクもある。使うタイミングを見極めて、賢く買い物しよう。

中川宏道(なかがわ・ひろみち)
名城大学経営学部国際経営学科教授。博士(心理学)九州大学。専門は、消費者行動論およびセールス・プロモーション研究。現在はロイヤルティ・プログラム(ポイントカード)の研究や、値引きなどの販促効果の測定に関する研究を中心に行う。近著に『ポイントカードの消費者行動』(千倉書房)がある。
取材・文=有竹亮介
イラスト=さいとうひさし