SUBWAYの日本法人を買収したワタミは、スキマバイト仲介アプリ「タイミ―」と業務提携し、店長以外スキマバイトだけで運営する店舗を横浜にオープンした。ワタミはSUBWAYの店舗数を今後10年で180店舗から1000店舗規模へ拡大する方針を打ち出しており、専門家は、業務のオペレーション簡素化が最大の課題と指摘する。
スキマバイト主体の新店舗…深刻化する人手不足の解消へ
スキマバイトでシフトを埋めるのではなく、スキマバイトが店舗運営を担う。

砂川萌々菜記者:
10日にオープンしたSUBWAYの新店舗ですが、働いているアルバイトは隙間時間に働くタイミーワーカーなんです。

サンドイッチチェーンのSUBWAYが10日に横浜にオープンしたのは、アルバイト全員がスキマバイトの店舗だ。

ワタミ・渡邉美樹 会長:
通常スキマバイトは隙間埋めるが、これは違う。全部埋めてくれる、全部埋めてもらう。

2024年10月にSUBWAYの日本法人を買収したワタミは、スキマバイト仲介アプリ「タイミー」と業務提携を行った。これにより、店長以外をすべてスキマバイトで埋めることができ、外食業界で深刻化する人手不足の解消につなげられるという。

スキマバイトの研修時間は4~6時間で、その成果なのか、皆さんテキパキと働いている。

ワタミ・渡邉美樹 会長:
平均3カ月でアルバイトは辞めていく。採用コスト・福利厚生費・研修費を加味すると、タイミーさんで丸々やったとしても、ワタミにとってもウィンだし、働く人にとってもウィン。

タイミ―・小川嶺 社長:
人がいないから店舗出店できないという思いを、弊社がパートナーになり、店舗出店を加速させていきたい。

手軽に働ける新店舗をオープンしたワタミは、2034年までにSUBWAYの店舗数を現在の約5倍に増やす予定だ。
現在の180店舗を10年で1000店舗規模へ
「Live News α」では、働き方に関する研究・調査を行っているオルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
SUBWAYの試みを石倉さんは、どうご覧になりますか。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
ワタミグループは2024年、SUBWAYをグループ入りさせて、一気に店舗の拡大を考えていると思います。
決算資料をみても、現在180店舗あるものを10年で1000店舗くらいにする計画です。ここ数年ワタミは店舗をほぼ増やしていなかったので、今回のタイミーの活用は、一気に店舗を拡大する準備なのではないでしょうか。
堤キャスター:
今、飲食店の多くが悩む人手不足問題があるわけですよね。
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
飲食店が店舗拡大をしていく上で、課題となっているのは人の採用です。アルバイト・パート中心で店舗を回すのがほとんどですが、以前からずっと採用は難しいままですし、定着もなかなかしないという現状があります。
もしタイミーだけで人が充足されていくのであれば、今後拡大していくSUBWAYでは同じような仕組みで店舗作りができるでしょうし、他のブランドにも横展開しやすいということがあるのではないかと思います。
オペレーションの簡略化とシフト・トラブル対応が今後の課題に
堤キャスター:
コストの削減効果については、いかがですか。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
ワタミグループの規模になると、採用費だけで年間数億円の規模になる事も想定されますが、一気にそれを減らせることができると思います。
もちろん、全ての店舗・ブランドがタイミーだけで回すというのは難しいかもしれませんが、うまく店舗が回せれば、大きなコストの削減が見込めると思います。
ただ、いざ、タイミーで来たスポットの人たちでお店を回すことを考えると、新たな課題が出るのではないかと思います。
堤キャスター:
その新たな課題とは。
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
一番大きな課題は、誰が来ても回るようなオペレーションをシンプルに、簡単にできるようにしていくか。
そして、スポットバイトを活用しても埋めきれないシフトを、どうするのかというのが2つ目です。最後に、スポットできた人が何か問題を起こした場合、どう対処するかという3点があります。
この3つをどう解決するか、対処法を考えられれば、人手不足の中でも、一気に店舗を拡大できるチャンスが生まれてくると思います。
今回のように、「人の確保」という大きな課題を抜本的な方法で考えていくことが、今後、どの会社にとっても必要な戦略と言えるのではないでしょうか。
堤キャスター:
スキマバイトの活用によって、人手不足の解消と、店舗の拡大を共に図ることができるのか。企業と働く人、それぞれにメリットがあることが鍵になるように思います。
(「Live News α」4月10日放送分より)