土地取引の目安になる「地価公示」。宮崎県内の住宅地は2年連続上昇となり、商業地は1991年以来、実に34年ぶりに上昇に転じた。不動産鑑定士は「宮崎市の経済活動の活発化が県内全体の商業地の上昇に貢献した」と分析。「ニシタチ」に客足が戻り、再開発も進む宮崎市中心地では新築マンションの建設ラッシュも続いている。

住宅地、商業地ともに地価上昇

地価公示の対象区域は、宮崎市や三股町など9つの市と10の町、地価の判定基準日は2025年1月1日で、住宅地や商業地など県内合わせて226地点で調査が行われた。

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この結果、住宅地の県平均価格は1平方メートルあたり3万3000円で、2024年より500円アップ。平均変動率は0.3%上昇。住宅地で最も価格が高い地点は、宮崎市船塚3丁目の11万7000円で、2024年に比べ4.5%上昇し、6年連続1位となっている。

また、下落が続いていた商業地も1991年以来34年ぶりに上昇に転じた。商業地の平均価格は1平方メートルあたり5万9900円で800円のアップ、変動率はプラス0.2%となった。県内で最も価格の高い地点は42年連続で、「宮崎市橘通西3丁目の中めがね本店」で、価格は1平方メートルあたり30万1000円、3.8%上昇した。

なぜ上昇に転じた?不動産鑑定士が分析

2025年の地価公示のポイントの1つが、実に34年ぶりとなる商業地の価格の上昇だ。この要因について、今回の地価調査をとりまとめた不動産鑑定士は、「宮崎市の経済活動の活発化が県内全体の商業地の地価上昇に貢献した」と分析している。

黒木総合鑑定 黒木勇人社長:
商業地の地点数としてもうけられているのが、宮崎市が一番多いという事がひとつ。その中でも宮崎市は上昇しているところが多く、上昇率も大きいので全体をならしたときにトータルでプラスに転じた。

こう話すのは、地価調査の宮崎県代表幹事を務める不動産鑑定士の黒木勇人さん。県内の商業地69地点のうち、およそ4割を占める宮崎市。新型コロナウイルスの影響で、県内最大の繁華街「ニシタチ」の地価は下落に転じていたものの、客足が戻ったことで2024年に回復した。

黒木総合鑑定 黒木勇人社長:
コロナ以前の状態と変わらないくらいの人の出があるようになった。商業地に対する不動産投資意欲が以前の状態に戻り、ぐっと高まった。直近2〜3年停滞していたものが完全に元に戻った状態というのが地価上昇の一番大きい要因。

特に宮崎市における不動産投資の中でも顕著なのが…

続くマンションの建設ラッシュ

宮崎市の中心市街地では、県内最高層、20階建てのタワーマンションが建設されるなど、マンションの建設ラッシュが続いている。

黒木総合鑑定のまとめによると、宮崎市では2020年以降、19棟の新築分譲マンションが建設されており、今後も少なくとも6棟が建設されることが分かっている。

このうち21棟は、宮崎駅から半径1キロ圏内に集中。このエリアには、4月に複合商業施設の「HAROW」がグランドオープンするなど再開発も盛んだ。

黒木総合鑑定 黒木勇人社長:
年齢層の高い方が人口比率の中で増えていく中で、車の運転の問題などがあり、便がいいところに住みたいというニーズの高まりがある。

実は県外の購入者が多い新築マンション

また、タワーマンションの販売担当者によると、宮崎市で販売したマンションは、空港までの利便性や、マリンスポーツやゴルフなどを楽しめるリゾート地としての需要が高いことなどから、他県のマンションに比べて県外の購入者が多いという特徴があるという。

黒木総合鑑定 黒木勇人社長:
地価が上昇しているところに不動産投資が来ているというよりは、需要が出てきたから不動産の価格が上がり始めている。宮崎県全体を見た時に、この5〜10年の中で比べれば、地価は機運的には盛り上がりを迎え、良い回復期を迎えている。

景気を表す1つの指標となる「地価」。コロナ禍からの回復や中心市街地の再開発の影響が商業地の地価に反映され始めたことが、今回の調査結果からは読み解ける。

(テレビ宮崎)

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