要するに、世の中でバズっているものを知らないままでいることへの本能的な恐怖、ということだ。例えば、音声SNSであるClubhouseの成長の原動力もそれだったと言われている。

ClubhouseはTwitter(現X)のスペースのような機能で、スピーカーの数人が話す内容を他のユーザーが集まって聞くような形のサービスだ。そして、Clubhouseは公開当初、完全招待制のSNSで、招待されない限りそもそもサービスを利用することができなかった。

人は流行に乗りおくれたくない(画像:イメージ)
人は流行に乗りおくれたくない(画像:イメージ)

さらに、Clubhouse内の会話はアーカイブなどが残らず、その場に参加することでしか聞くことができない。芸能人や著名な起業家が毎晩業界の裏話をしているということで、自分もそれを聞きたいというユーザーが殺到し、招待を求める声がSNS上にあふれた。

ある試算では、わずか10日間で50万ユーザーを集めるほどで、爆発的な成長と言っていい。FOMOには人を、そうした熱狂的な動きに追い立てる力がある。

SNSで“バズる”価値はあるか

そして、Clubhouseに限らず、SNSでは著名人のニュースやスキャンダルが頻繁に流れてくる。中には、SNSでバズったから著名人になったという人もいる。

そうした人たちは、良かれ悪しかれ日本中から注目され、無論こき下ろされることもあるが、それ以上に賞賛されているように見えるし、少なくとも注目されることでメリットを得ている。人は社会的動物で、注目されたい、認められたいという欲求を常に抱えている。