どうすれば「活力」を蓄えることができるのか。片野さんは、休み方を「生理的」「心理的」「社会的」に分類し、実際の行動に落とし込んだ“7タイプの休養”を提案している。

【生理的な休養】
休息タイプ:睡眠や休憩など。体を安静にして、体力の回復をはかる。
運動タイプ:ヨガや柔軟など。体を軽めに動かし、血行を促進させて老廃物を洗い流す。
栄養タイプ:胃腸を休ませる。食事を控えめにし、食べるなら胃に優しいものにする。

【心理的な休養】
親交タイプ:世間話や森林浴など。他人、動物、自然と交わることで心を安らげる。
娯楽タイプ:映画や音楽の観賞、ゲームなど。楽しむことがリラックスにつながる。
造形・想像タイプ:料理、DIY、瞑想、想像など。ストレスを切り離して何かに集中する。

【社会的な休養】
転換タイプ:旅行、掃除、着替えなど。自分を取り巻く環境を変えることで気分転換する。
これらを「組み合わせて取ること」が、疲労から解放されるもうひとつのポイントだ。肉体的にも精神的にもリフレッシュでき、休養の効果も高まるそう。
休み方にちょっとした工夫を
例えば「スープを飲む」という行動だと、家族らと手作りする、公園に行く、などの工夫によって、7タイプ全てを経験できるという。
温かいスープを飲む → 栄養タイプ
スープを手作りする → 造形・想像タイプ
子供や知人と作る → 親交タイプ
料理することを楽しむ → 娯楽タイプ
近くの公園に移動する → 運動タイプ+転換タイプ
ベンチで座ってくつろぐ→ 休息タイプ
日常の何気ないことでも、ちょっとした意識と工夫で、活力を蓄えることにつながるのだ。
趣味や嗜好はそれぞれなので、自分の生活を振り返り、疲れやストレスから解放される過ごし方を探してみてはいかがだろうか。
片野秀樹(かたの・ひでき)
博士(医学)。一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、株式会社ベネクス執行役員。休養に関する社会の不理解解決やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。著書に『休養学:あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社)がある。
(イラスト:さいとうひさし)