山本のヨーヨーカーブが凄いのは、ほぼ3000RPMという回転数で大きく落ちるだけでなく、横方向にも大きく変化できる点です。つまり、縦と横の二方向で大きく変化するのです。
クレイトン・カーショウのカーブは、縦方向の急激な落差で知られていますが、山本のヨーヨーカーブは彼のカーブに匹敵するほどの落差の変化量を持ちます。
いわゆる12-6(twelve-to-six)のカーブです。12-6のカーブとは、時計の12時(真上)から6時(真下)へと縦に大きく曲がる変化を指します。
このような大きな落差があるだけでなく、横方向にも大きな変化を加えられるので、山本は一日中このカーブを投げていたとしても早々に攻略されることはないでしょう。そのぐらい打者にとって厄介な球だと思います。
山本は90マイル後半(150キロ後半)のストレートも思い通りに投げ分けることができます。これも言うまでもなく、素晴らしい球です。
どの球も本当に極上なのですが、あえて一つを選ぶとすると、彼の最高の球はスプリッターではないかと思っています。
なぜなら、彼のスプリッターは、93マイル(約150キロ)に達することもあるのです。
それほどの速さがあるのに、打者の目前で急激に落ちる特性があるのです。ストレートとの球速差がほとんどないにもかかわらず、まるで違う球なのです。一体どうやって投げているのか、もはや“反則レベル”の球に思えます。
これほど速く落ちる球を打つのは至難の業です。打者のスイングミスを誘う最高の球なのではないでしょうか。
