2024年12月、秋田市で吹奏楽と合唱を織り交ぜた「大いなる秋田」が披露された。多くの人に感動を与えた迫力のステージの裏側では、障害がある人にも音楽を楽しんでもらおうとスタッフが奮闘していた。

年末の風物詩として継続へ

2024年暮れにあきた芸術劇場ミルハスで開かれた「あきた吹奏楽の日~大いなる秋田 定期公演~」は、県民の誇りともいえる「大いなる秋田」の伝承と音楽文化の振興を図ろうと開催され、今回が2回目だ。

2024年暮れに開かれた「あきた吹奏楽の日~大いなる秋田 定期公演~」
2024年暮れに開かれた「あきた吹奏楽の日~大いなる秋田 定期公演~」
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「大いなる秋田」は、かつて県の音楽祭などで受け継がれてきたが、会場だった県民会館の閉館や新型コロナウイルスの影響で演奏の機会に恵まれなかった。
しかし、あきた芸術劇場ミルハスが開館したことを機に2023年に再開され、年末の風物詩として継続していこうと歩み出した。

演奏は高校生50人 合唱は中学生や社会人など約360人
演奏は高校生50人 合唱は中学生や社会人など約360人

県民にとってなじみ深い大いなる秋田の演奏と大合唱を聴こうと、会場には多くの観客が足を運んだ。今回演奏したのは高校生50人。歌ったのは秋田市内の中学生や社会人など約360人だ。大いなる秋田を歌い継ごうと、心を込めエネルギーあふれる歌声で披露した合唱に、会場からは大きな拍手が送られた。

初めて参加した中学生は「大人数で歌うことが初めてで、大いなる秋田に参加したのも初めてだったが、秋田のすごさや偉大さを知ることができた」「歌を全員で歌うとこんなに楽しいんだということを改めて感じられて、すごく楽しかった」と達成感でいっぱいの様子だった。

「鑑賞支援サービス」を導入

今回の公演では、目や耳が不自由な人にも音楽を楽しんでもらうために「鑑賞支援サービス」が初めて導入された。

耳が聞こえにくい人に用意された「補聴システム」は、骨伝導イヤホンを通じて、音楽や場内アナウンスの音が聞き取りやすくなる。またスタッフは、視覚障害がある人をサポートするために、事前に介助の仕方の研修を受けて本番に臨んだ。

介助研修の様子
介助研修の様子

視覚障害の人をサポートした川口沙野花さんは「階段を上るところが難しいのではと思ったり、案内の仕方に不安があったりしたが、逆に目が見えない人が白杖に慣れていて、想定していたよりもスムーズに歩いていた」と振り返る。

誰にでも来てもらえる劇場へ

今後も支援を充実させるために、知識と経験を増やし、誰もが楽しめる劇場を目指す。

川口さんは「この劇場はとても良いホールなので、誰でも気兼ねなくどんな人でも来られる、来るのに一歩ためらうような劇場じゃないといいなと思う。そのためには受け入れる態勢をつくることが大切。どんな公演にも誰にでも来てもらえる劇場を目指したい」と意気込んだ。

ミルハスで開かれる公演がどんな人でも楽しめるように。スタッフの奮闘は続く。

(秋田テレビ)

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秋田テレビ
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