「シェアレンティング」という言葉をご存じだろうか。シェア(共有)とペアレンティング(育児)を組み合わせた造語で、親が自分の子供の写真や情報をSNSに投稿することを指す。
ただ、そこには思わぬ危険も隠れている。
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんによると、SNSの使い方次第ではプライバシーの侵害、最悪の場合は誘拐などに巻き込まれる可能性もあるという。
大切な子供の安全を守るため、親はこの課題にどう向き合うべきか。危険性と気を付けたいことについて、鈴木さんに話を聞いた。
子供が“フリー素材”となる恐れ
幼い子供がいる30~40代の親は、育児の情報を得ようと、SNSを活用しているのが一般的。子供の成長記録を発信する「子育てアカウント」がある人も少なくないだろう。

鈴木さんは、そんな親こそがシェアレンティングの危険性にさらされていると指摘する。無防備に子供の写真を投稿すると、悪用されることがあるというのだ。
「投稿した写真が何者かにコピーされ、フリー素材として利用されることもあります。性的な目的で悪用されたり、中には誘拐しようと考えたりする人もいます」
特に、赤ちゃんから就学前の子供は狙われる危険も高いそう。写真を無断転載して、自分の子供かのように使われたり、事件に巻き込まれたりする可能性もある。
心を閉ざしてしまうことも
親子関係に悪い影響をもたらす恐れもある。子供は成長すると、自分がどのように投稿されたか気になるのは、自然なことだ。

「親からすれば、可愛らしい写真やエピソードを投稿したつもりでも、子供にとっては恥ずかしい・知られたくないものだったりします。子供が中高生になったとき、『自分の写真で“いいね稼ぎ”をしていると知ると腹が立つ』という子も少なくありません」
何気なくした過去の投稿が嫌な思いをさせ、子供の心を閉ざしてしまうこともあり得るのだ。