松山東雲高校アーチェリー部に所属する、全国大会で準優勝の実績を持つ2人が、互いに切磋琢磨しながら世界の頂を目指している。
異なる個性で頂を目指す2つの才能
キャプテンを務める2年生の黒田彩夏選手は、2024年の国民スポーツ大会で少年女子個人準優勝という輝かしい成績を残した。

「点数を意識し始めると自分の中でプレッシャーがかかるので、優勝まであと一歩だけど、いつも通り気にしないで射ちました」と、冷静に結果を振り返る。

もう一人の2年生、松下朋那未選手も2024年春の全国選抜大会で準優勝。「自分を信じて、勝ちたいという気持ちを持ち続けることだったかな」と、その強さの秘訣を語る。
2人は小学生の頃に競技と出会い、東雲のアーチェリー場で切磋琢磨してきた仲だ。「ライバルです」と黒田選手。松下選手も「自分にいい影響を与えてくれる存在」と互いを認め合う。

山川監督は2人の特徴を「黒田選手はパワフルですね。筋力的に強いので弓を強くコントロールする力がすごくある。一方、松下選手は筋力はそんなに高くないんですが、バランスがいいので、バランスを使いながら安定感のあるシューティングをする選手です。タイプがまったく違うのでそれぞれの持ち味を生かしたアーチェリーができるようになってくれたらいいかなと思っています」と分析する。
監督の大きな野望
2007年、愛媛県内の高校で初めて創設された松山東雲高校アーチェリー部。創部以来、指導を続ける山川厚監督の胸にはある大きな目標がある。

山川監督は「野望は東雲の卒業生が3人ともナショナルチームに入って、オリンピック団体で金メダルを取るのが夢です」と力強く語る。
世界標準への挑戦と未来への決意
「強くなるためにどんなことでも試してみたい」

その探究心から、2024年の秋にはアメリカの最新技術を学ぶため、アメリカナショナルチームの選手を招いた合宿に臨んだ。
弓の握り方といった技術面や試合に臨むメンタル面など、それぞれに大きな収穫を得て、2025年、集大成の最終学年を迎える。

黒田選手は「今日のことを明日、そのまま続けるだったら成長にならないので」と、日々の向上を誓う。松下選手も「昨日の自分より今日、今日の自分より明日も自分がうまくなれるように成長できるように」と、「昨日の自分を超える」との決意を胸に秘めている。

そして2人が目指す頂は明確だ。松下選手は「目標は3月の選抜で優勝すること」と意気込み、黒田選手も「ナショナルチームに入るために、自分の中で練習して自己ベストを出すこと」を掲げる。
「愛媛から世界へ」。松山東雲の2人のエースは今日も的に向かって静かに闘志を燃やし続けている。
(テレビ愛媛)