アメリカの証券取引委員会は、証券法違反の疑いでイーロン・マスク氏を提訴した。

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訴状などによると、2022年にマスク氏が旧ツイッター社の買収を進めていた際に証券取引委員会に対し、期限内に株式の大量保有報告を行わなかった。

これにより、マスク氏は本来より少なくとも1億5000万ドル、当時のレートで約180億円低い価格で株式を取得できたということだ。

ただ、SEC(証券取引委員会)のゲンスラー委員長は、トランプ次期大統領の就任に合わせ退任する予定で、アメリカメディアは新政権がこの訴訟を続けるかは不明だと伝えている。

マスク氏は提訴を受け、証券取引委員会について「完全に壊れた組織」などとSNS上で反発している。

トランプ政権入りなどに影響は?

マスク氏の提訴がなぜ問題なのか、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
そもそも5%を超える大量のツイッター株を購入する場合、マスク氏は10日以内に情報を開示する義務があったんです。
なぜなら、マスク氏がツイッター株を欲しがっていると分かれば、ツイッター株を持っている人はより高い価格でマスクさんに株を売ろうとするはずです。
その結果、ツイッターの株価が上昇するはずだったんです。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
ですが、マスク氏は自分がツイッター株を買っていることをしばらく隠していたと。そのため、安い値段のままツイッター株を購入することがマスクさんはできた。
証券取引委員会は、当時のレートで約180億円近く安くマスク氏はツイッター株を入手したと訴えているんですね。

青井実キャスター:
マスクさんはすごく得をしたという話なわけですよね。
訴えが認められればどんな処分になるのか、トランプ政権に入るといわれているわけですから、このあとの影響どうなのか、その辺りはどうでしょう。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
今回のルールは当局が「厳格責任規則」と呼ぶもので、ウォール・ストリート・ジャーナルなどのアメリカメディアは、トランプ・マスクコンビでこのルールを覆すのは難しいと話していると。
これが仮に認められたとしても、処分は罰金程度にとどまっていて、マスクさんの政権入りなどが取り消されるというのは考えにくいですね。
マスク氏も早速、Xで「SECは完全にいかれた組織。こんなくだらないことに時間を使っている」と対立姿勢をあらわにしています。
トランプ氏は就任に合わせて、SECの長官を交代する予定です。今後、そうなりますとSECのルール証券取引のルールなど抜本的に手を入れてくる可能性も考えられますよね。

青井実キャスター:
パックン、影響はあまりないということなんですね。

マスク氏にとって「痛くもかゆくもない」
マスク氏にとって「痛くもかゆくもない」

SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
あんまり痛くもかゆくもないんです。変な話、「例えば、180億円全部返せ、その3倍返せ、500億円くらい返せ」という罰金がついたとしても、マスク氏は本当の話、1日でそれぐらい稼げるんですよ。
500億円、毎日稼いでるから1日の収入を返すだけで済むわけですよ。痛くもかゆくもないんです。
ただ、トランプが就任したらなるべく、提訴を取り下げようとするようには見ています。自分に対する特別検察官を就任して2秒以内にクビにするとか言ってるし、不正な捜査だとずっと見ているから、これをとことん止めようとするのはトランプ氏だと思います。
(「イット!」1月15日放送より)