会話で‟ふとした時に出る言葉”に悩んでいる人はいないだろうか。話し始めに「あっ」と言ったり、会話の途中で「えーっと」と発したりするものだ。

 “話し方トレーニング”のスクールを展開する「株式会社カエカ」によると、こうしたつなぎの言葉は「フィラー表現」と呼ばれ、時と場によって、聞き手に良くない印象を与えるという。

スピーチトレーナー・日向優理子さん
スピーチトレーナー・日向優理子さん
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プレゼンや商談など、大勢の前で話す機会が多いビジネスマンにとっては悩ましいが、減らすことはできるのか。カエカのスピーチトレーナー・日向優理子さんに話を聞いた。話すときの意識や姿勢、地道な練習を重ねることが改善の近道になるという。

場をつなごうとする気持ちが影響

「次に話す言葉が出てこないとき、“沈黙の間”が怖いと感じることからフィラー表現は出てしまうことがあります」と日向さん。

会話中の沈黙を怖いと感じると「その場を何とかつなごうとする気持ち」が生まれる。これが、出てしまう大きな要因だという。

プレッシャーがある場面は特に注意(画像はイメージ)
プレッシャーがある場面は特に注意(画像はイメージ)

また、「話す場所や状況」も影響する。慣れない場所やガヤガヤした場所では、集中力を削がれるため出やすくなる。大勢の人の前で話すときや大事なプレゼンなど、プレッシャーがある状況では特に注意が必要だという。

このほか、「話すこと自体に苦手意識」があっても出やすくなるとのこと。例えば、学生時代、授業中に当てられて答えられず黙り込んだなど、トラウマに近い経験を持つ人は、社会人になっても話すことに苦手意識を感じているケースが多いそうだ。

代表的なパターンは3つ

日向さんによると、フィラー表現の代表的なパターンは以下の3つ。

・話し始めに出る
話を始めるときに出てしまう。
例:自己紹介で「‟あっ”、私は〇〇〇〇です」など。

・文節の区切りに出る
短い文の途中に入る形で、発してしまう。
例:「私は〇〇〇〇です。“えーっと”、今日は皆さんお集まりいただき…」など。

・語尾の母音を引きずる
言葉の語尾を伸ばしてしまう。
例:「あの(o)ー、そうですね(e)ー」など
どのパターンも沈黙がないようにと、場をつなぐ形で出てしまうのが特徴的だ。

無意識な相づちも当てはまる(画像はイメージ)
無意識な相づちも当てはまる(画像はイメージ)

また、人の話を聞く際に「そうですね」「なるほど」などと相づちを打ったりする人もいるはず。こうした言葉も無意識に発していれば、フィラー表現と考えていい。