Bリーグ「サンロッカーズ渋谷」主催のパブリックビューイングで、観戦と地元企業によるチーム応援を共通の話題にした円滑なビジネスマッチングが実現した。
スポーツの「人を集める力」とSNS活用が、企業や地域に相互利益をもたらす新たなビジネスモデルとして注目される。

試合観戦と交流で生まれる新ビジネスモデル

スポーツをハブにしたビジネスマッチングとは…。

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18日夜、行われたBリーグの試合で、選手のプレーに会場だけでなく、パブリックビューイングも熱狂していた。

名刺交換する参加者
名刺交換する参加者

東京・渋谷のバグース渋谷店で、「サンロッカーズ渋谷」主催のパブリックビューイングが開催された。
チームの応援はもちろんだが、このイベントのテーマがもう1つ、「スポーツを通じたビジネスマッチング」だ。

今回は、渋谷にゆかりのある中小企業など、18社から40人が参加した。
“推し”のチームが同じだからこそ、コミュニケーションも円滑に進むため、新たなビジネスの種が生まれることを目指している。

「こういうのも作っています」
「等身大パネルとかですか。もともとは額縁のメーカーなんですが、そこから発展して、プロのスポーツチーム向けに記念品を作ったりやらせてもらっています。プロチームと相対してお仕事しているのはさすがだと。ファンからしてみたら、めちゃくちゃうれしいですからね。」

ハーフタイムにはダーツ大会を開催
ハーフタイムにはダーツ大会を開催

さらにハーフタイムになると、企業の垣根を越えたダーツ大会も開催された。

参加者:
うちは額縁のメーカーで、ニッチな業界ではあるんですが、いろんなところとつながれる機会ではあるので、お酒飲みながら、いろんな人と交流できて、なおかつ、大好きなチームの試合を見られるというのはうれしいです。共通で応援しているチームがあるのが一番大きい。

参加者:
オンライン広告出していなくて、こういう交流会やほかのチームのスポンサーとか、経営者会で仕事をもらってるので、スタッフさんに“こういう人を紹介してほしい”とか、わがまま言えるので、そこは助かっています。

参加者:
“THE交流”だと、手持ちぶさたになったり、間が空いたりするんですけど、試合見て話をしながらだと、コミュニケーション取りやすいです。

2023年から、会員制のビジネスクラブを創設するなど、スポーツを企業間交流のハブとして活用する “サンロッカーズ渋谷流”の新たな取り組み。
今後もイベントを通じ、アウェーの試合での収益化や地域の活性化にもつなげていきたいという。

サンロッカーズ渋谷パートナーセールス・高橋千尋さん:
(渋谷という)多様な企業がある中で、手軽にスポーツというコンテンツを通じて、企業同士がつながれるというのは、これまでにない価値だと感じていて、そこで新しく出てくる価値観・発想を、ビジネスにつなげていきたい。

われわれの収益化だけでなく、地域も一緒に盛り上げていくことを、このアウェー戦のパブリックビューイングを提供することで実現していきたい。

 赤字から成長へ…プロ野球が示す成功モデル

「Live News α」では、働き方に関する研究・調査を行っているオルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーースポーツハブでのビジネスマッチング、どうご覧になりますか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
以前は、スポーツビジネスといえば、試合の観戦チケットとグッズ、2つだけで収益を上げるモデルが当たり前だったんですよね。

それが今回の取り組みのように、スポーツチームが自らの存在を再定義して、ビジネスモデルを拡張する流れは非常に多くある。

今回の例とは違いますが、Jリーグでもスポンサー同士が協力して、地域をどう盛り上げるかということをしています。

これは、Bリーグの成功はもちろん、日本のスポーツビジネスの代表であるプロ野球が変わったことが大きいのではないかなと思います。

堤キャスター:
ーー具体的にはどう変わったのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
かつてプロ野球といえば、ほとんどのチームは赤字経営で、親会社が広告宣伝費として補うという形がほとんどでした。

それが今では、多くの球団が大きな利益を上げていて、チームによっては、親会社にとっても主要事業の1つにまで成長しているんです。

集客力とSNS活用が生む新時代のスポーツ経営

堤キャスター:
ーーどうして球団経営が、ビジネスとしてうまくいくようになったのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
プロ野球の試合を、何千・何万の人が集まる場として、それをどう有効活用するかを本気で考え始めたということだと思います。

つまり、スポーツチームには強い求心力があり、たくさんの人を集められるのは最大の武器なんです。企業にとって人を集めることは、もっとも難しく、お金もかかる行為ですが、それをスムーズに行えるのがスポーツです。

だからこそ、スポーツというコンテンツが持っている「人を集める力」というのを、うまく活用することで、企業や地域にとって、相互メリットが生まれていると思います。

堤キャスター:
ーーファンを集める力が、ビジネスとしての強みになっているんですね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
そうですね。もう1つ、SNSの存在も大きいと思います。これまでは、どこかに人が集まっても、その雰囲気や楽しさは、その場にいない人には伝わらなかったもので、その場が終わればそれまで…、という形でした。

それがSNSによって、その場にいなくても雰囲気が伝わったり、画像を見られたり、次のユーザーを集客することもできるし、終わったあとで皆がつながることもできます。

これからも、人を集める力を持っているスポーツの力を最大限活用していくための動きは増えていくのではないかと思います。

堤キャスター:
スポーツの持つ力を生かして、好きという気持ちや応援の楽しさをきっかけに、さまざまな発想や新たなビジネスが生まれるといいですね。
(「Live News α」12月18日放送分より)