静岡県富士宮市の須藤秀忠 市長は12月2日、市議会本会議で児童・生徒の不登校問題について「親が悪い。学校へ行けないことは悪いことだと教えていかないと」などと発言し、その後、撤回した。
質問戦で不適切発言⇒撤回
富士宮市では12月2日、市議会11月定例会の一般質問が行われた。
この中で、児童や生徒の不登校問題に関連して、市の取り組みについて仲亀恭平 議員から質問された須藤秀忠 市長は「子供が学校に行かないのはなぜかと考えてみると親が悪い。学校が悪いのではない。親が子供のしつけをちゃんとしていないから学校へ行かなくても良いというのが当たり前みたいになっている。学校へ行くのは当たり前で、学校へ行かなくてはダメということ、良いこと悪いことの区別をつける必要がある」と述べた上で「学校の教育ではなく、家庭での教育が大事だと思っている。学校へ行けないことは悪いことだと教えていかないと。厳しいしつけをすると子供がもっと悪くなると心配するよりも、厳しいしつけの中に愛があって、子供が正しい道に進むことを悟ると私は思う」などと答弁した。
ただ、須藤市長はその後、自身の発言について周囲から指摘を受け、「不登校が親だけの責任であると捉えられかねない発言があったので取り消したい」と撤回している。
とはいえ、一度は市長が口にした“持論”に、質問をした仲亀議員は取材に対し「市長の口からあのような発言が出るとは思っていなかったので驚いた。不登校は親の責任だと強く明言したところが衝撃的だった。自責の念にかられている親もいて、支援しようという教育長の発言もあった中で、市長がそれを否定するような言葉だったので少し残念」と唖然とした表情を浮かべた。
不登校の実態は?
10月29日に文部科学省が公表した児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によれば、不登校の児童・生徒は全国の小学校で13万7704人、中学校で21万6266人と過去最多となっていて、同省が2021年10月に公表した不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書では「最初に学校に行きづらい、休みたいと感じ始めたきっかけ」(複数回答可)について、嫌がらせやいじめ、教師との関係性、学習面など「学校生活がきっかけ」は小学生が76.9%、中学生が79.4%に上っている。
(テレビ静岡)
