1日は各地で雷雨やあられが発生したほか、日本海側を中心に黄砂が飛来。2日は東京でも43年ぶりに黄砂が観測される可能性がある。黄砂は花粉やダニと結び付き、「アジュバント効果」でアレルギーや炎症を強め、インフルエンザが悪化する恐れもあるという。医師は外出時のマスク着用や手洗いなどの対策を呼びかけた。

ゴルフボール大のひょう

12月に入った1日、視聴者のカメラが捉えたのはゴルフボールよりも大きなひょうだ。
発達する低気圧の影響により天気の急変が相次いだ。

秋田・八峰町では空から巨大なひょう
秋田・八峰町では空から巨大なひょう
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秋田・八峰町では夜明け前の空から巨大なひょうが降った。
ひょうを手に取ると、その大きさが非常によく分かる。

撮影者:
ゴルフボールよりも大きいのもありました。でこぼこしたのとかツルツルしたのとか、いろんなのが。

ゴルフボールよりも大きなひょうに、撮影者も「初めて見た」と驚きを隠せない様子だった。

撮影者:
あられだと思ったんですが、外が真っ白になったあとに屋根に落ちる音が、ゴンゴンっていうすごい音がしてきて、ちょっと窓から外を見たら、見たことないようなの(ひょう)が落ちてて。歩いてたりとかしたら絶対けがしてると思うし、車もし走ってたらガラス割れるとかしてたんだろうなって思うとゾッとします。

雷鳴とともに激しいひょうが(1日、秋田・大館市)
雷鳴とともに激しいひょうが(1日、秋田・大館市)

正午前には秋田・大館市でも雷が鳴り、ひょうが激しく降り出した。

秋田・北秋田市では、あられ交じりの雷雨となり、排水パイプから勢いよく雨水が流れ出し、無数のあられがアスファルトにはじかれていた。

2日にかけ東京でも43年ぶり“師走の黄砂”か

ひょうや雷雨など天気の急変が相次ぐ一方、師走の空では異例ともいえる現象が起きている。

遠くがかすんで見える関門海峡
遠くがかすんで見える関門海峡

午後3時ごろの福岡・北九州市から関門海峡を望む空の映像を見ると、遠くがかすんでいるように見える。

1日、日本海側を中心に注意が呼びかけられたのは、黄砂だ。

11月30日は熊本・八代市でも、車に付着した黄砂がカメラに捉えられた。
茶色いほこりがまだら模様のようにボンネットなどを覆っていた。

撮影者:
車がすごく汚れてて、それで車のフロントガラスも汚れてて、前が見えないぐらい汚れてたので、率直にすごくびっくりしたなっていう感想。どのタイミングで洗車すればいいかみたいなことはちょっと考えたりする。

2日にかけては東京でも黄砂が観測される見込み。
実際に師走の東京で黄砂が観測されれば、実に43年ぶりとなる。

黄砂が花粉などアレルギー物質と結び付き…

この異例ともいえる“師走の黄砂”。心配なのは体への影響だ。

都内のクリニック(29日)
都内のクリニック(29日)

すでに東京都内のクリニックには、先週から飛来している黄砂によるとみられる症状を訴える患者が受診に訪れていた。

元々ぜんそくや気管支炎を患っていたという70代の女性は先週、薬を処方してもらっていたが、せきやのどの痛みなどの症状が出てきたという。

薬を飲んでいても悪化したという症状。
考えられる要因があるという。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
黄砂に付着する化学物質、花粉やダニなどの物質が刺激し合って、通常起こるアレルギー反応や炎症反応をより増強させる働き、これを“アジュバント効果”と言います。

伊藤院長によると、「アジュバント」とは、ワクチンなどの効果を高めたり補ったりする働きのこと。

黄砂の場合、空気中の花粉やダニなどのアレルギー物質と結び付き、人がそれを吸い込むと、このアジュバント効果により、アレルギー反応が強まってしまうのだという。

インフル患者“負のスパイラル”

加えて今、列島でまん延しているインフルエンザの患者にも、悪影響があるという。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
インフルエンザに感染・発症した時に、黄砂を吸い込んでいることによって、より強い炎症反応が起こって、それは痛みであったりとか、せきであったりとか、鼻水であったり、こういった症状が強く出て、場合によっては重症化に関与する可能性がある。
アジュバント効果によって喘息発作が起こりやすくなって、しかも感染も起こりやすくなったり重くなるという負のスパイラルになりやすい。

対策としては、黄砂の時は外出しないことが一番だが、どうしてもという場合は、黄砂を吸わない工夫をすることが必要だ。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
黄砂を吸い込んでも何ひとつ良いことはありませんので、黄砂が飛んでくる日は外出を控えて。ベストはサージカルマスクだが、通常のマスクをするだけでも、ある程度効果は期待できる。場合によってはマフラーでも何もしないよりは良い。

黄砂が飛来している時には洗濯物を外に干さず、外から帰宅した際には「うがい」「手洗い」に加え「目を洗う」「お風呂に入る」ことなどが効果的だという。

2日は外に出たくなる天気だが…

師走の空に異例の黄砂。
2日も注意が必要だ。

気象庁の黄砂情報(2日午前9時予測)
気象庁の黄砂情報(2日午前9時予測)

気象庁の黄砂情報によると、1日夜から2日朝にかけて日本海側を中心に黄砂が飛来し、2日の朝からは関東にも達する恐れがある。

東京で観測されれば、12月としては43年ぶりとなる。

1日の東京都心は、最高気温が20度に達するなどポカポカの空模様だった。
2日の予想最高気温も18度と外に出たくなる天気だが、黄砂に備えマスクをするなどの対策が求められる。
(「イット!」 12月1日放送より)