弾丸は、国松長官の体内から2発と破片3片が見つかっていた(その後1995年9月5日に現場周辺で1発を発見)。
この弾は、アメリカ「フェデラルカートリッジ社」製の「ナイクラッドセミワッドカッター・ホローポイント弾」(重量約10グラム=158グレーン)だと判明。
犯人はこうした大型の特殊な銃と炸薬量が多く殺傷力の高い特殊な弾丸を使って、20.92メートルの距離から4発を発射し、うち3発を長官に命中させた。

このことから銃の扱いに相当慣れた者による犯行と思われてきた。
当初は、それこそ特別な軍事訓練を受けた者とも言われたものである。
軍事訓練なしでも命中
後年、警視庁は実際にコルト・パイソン6丁を事件の重要参考品として入手した。
入手したコルト・パイソンを警視庁幹部が試射したところ、撃った弾は全部的に当たったという。この幹部は特に射撃が得意な人物ではなかった。本人に言わせれば、非常に撃ち易い銃だったという。
そうなると犯人は必ずしも特別な軍事訓練を受けていた人間とは限らないことになる。

またその後の捜査で、弾丸は「357マグナム」あるいは「38スペシャルプラスP」のいずれかだということに絞られていく。
更にこの2種類の弾丸の発射実験から、犯行に使われた弾は流通された物よりも火薬量を多めに再調整されていた可能性も出てきた。
犯行グループが、長官の命を確実に奪うことを目的としていたことがあらためて裏付けられた。
朝鮮人民軍のバッジと韓国10ウォン硬貨
現場には、弾丸以外にも朝鮮人民軍のバッジと韓国の10ウォン硬貨が落ちていた。

日本に亡命した北朝鮮の元兵士に確認したところ、このバッジは北朝鮮人民軍で模範的な軍人個人を対象に授与された「人民軍記章」だと判明。
全国にあるミリタリーショップを対象に捜査を展開することになった。

しかし初動の時点では、2つの遺留品が犯行グループとどう繋がってくるのかは全く判らなかった。
テレビ局に犯行声明が
目撃情報、遺留品情報のほかに、特別捜査本部が最注目した情報があった。
「110番警視庁です。事件ですか?事故ですか?」
「テレビ朝日の者ですが、実は先ほどうちに不審な電話がかかってきたんです」