グレーゾーンは得意分野だと、突出したスキルやアイデア、集中力などを発揮することもあるそうだ。職場としてそんな部下をサポートしたいところだが、接し方のポイントはあるのだろうか。

一緒に解決する姿勢が大切

部下がグレーゾーンかもしれない場合、上司はまず、特有のつらさがあり、それによって「不安や悩みを抱えているかもしれない」と想像してみてほしいという。

同僚の前で注意して自己肯定感を下げる、感情的に怒るのはNG。本人や周囲に「グレーゾーンかもしれない」などと、言ったりするのはもってのほかだ。

上司は一緒に解決する姿勢を(画像はイメージ)
上司は一緒に解決する姿勢を(画像はイメージ)

直してほしいことがあるなら、まずはその原因をヒアリングしてみる。その上で、一緒に解決する姿勢を示しつつ「どうしてほしいか」を伝えてほしいと、舟木さんはアドバイスする。

そこでのコツは客観的なデータを示すことだ。グレーゾーンの人たちは、どうしても「相手の立場で考える」といった、想像力が働きにくいこともある。

伝え方によっては不満につながる(画像はイメージ)
伝え方によっては不満につながる(画像はイメージ)

例えば、遅刻が目立つ部下に、自分の感覚で「いつも遅刻しているけど」と言っても、部下が想像する“いつも”と違い、不満につながることもあるのだ。

「勤怠表などを示して『何日中、何日がこういう状態』と事実に沿って伝える。そして『どういう風に解決していこうか』などと、プラスアルファで提案をする。確認作業のような形で考えるとよいでしょう」

褒めることもセットで

できないことばかりにフォーカスせず、褒めることもセットにするのが大切。「できるようになったよね」「助かっているよ」などと、肯定的な言葉をかけるのもお勧めだという。

舟木さんは、特性を“能力の凹凸”とも表現する。例えば、部下の技術的な能力が90点、コミュニケーション能力が20点だとしたら、会社や部署が求める能力で働きやすさも違ってくるそうだ。

「相手の人格や能力を否定しないこと。一緒に解決する姿勢を持つこと。グレーゾーンに限ったことではありませんが、これが信頼関係の築き方なのではないでしょうか」

『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)

舟木彩乃
心理学者・カウンセラー。公認心理師・精神保健福祉士。博士(ヒューマン・ケア科学/筑波大学大学院博士課程修了)。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や地方自治体のメンタルヘルス対策に携わる。

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