このように「そうだね」は、チームの潜在能力を高める魔法の言葉なのです。これを日常会話に活かすなら、「面白そうだね」「楽しそうだね」とポジティブな言葉を使いながら話すとよいでしょう。
子どもに接するときも「そうだね」「そうなんだ」と言ってあげると、自分が認められたように感じて嬉しくなります。「そうだね」とか「なるほど」という言葉は、子どもを育てるときの合言葉にもなります。
北島康介への教え「自分だったら勝てる」
もう一つ注目していただきたい脳の特徴があります。それは「同期発火」です。テレビや映画で、人が悲しんだり喜んだりしている様子を見て自分も同じような感情になったことがありませんか?
このように、自分の脳が相手の発する情報に反応してシンクロするときなどに起こる現象を「同期発火」といいます。
これを初めて教えたアスリートは競泳の北島康介選手でした。

どんなに強い相手でも「自分だったら勝てる」と思えば同期発火が起きて肉薄できる可能性が高まる。逆に「勝てるかどうかわからない」と考えて闘っていたら確実に負ける。
彼にはそう教えました。北島選手には、後半加速のリズムを教え、不調を脱していたのであまり心配していませんでした。
「そうだね」というチームメイトの脳に入る言葉は、相手と闘う競技の場合にも効果を発揮します。
馬場美香さんが卓球女子日本代表の監督だったときの話ですが、「53年間、中国に勝てていないんです」と言われました。それを聞いて、私は即座にこう返しました。