クリスマスが近づくと、プレゼントを心待ちにする子供は多いはず。しかし、事情で用意できない家庭もあるだろう。
そんな子供たちに“本を届ける”活動を知っているだろうか?NPO法人チャリティーサンタの社会貢献プロジェクト「ブックサンタ」だ。
合言葉は「あなたも誰かのサンタクロース」。その活動について、チャリティーサンタの広報担当者に話を聞いた。
「プレゼントいらない」子供がうそ
ブックサンタは書店と連携し、さまざまな困難によって“体験格差”を抱える全国の子供たちに新品の本を贈るプロジェクト。毎年の9月~12月に協力を呼びかけ、クリスマスや子供の誕生日などに本を届けているという。

この“体験格差”とは、貧困、被災、病気などの問題で大変な思いをしたり、子供の頃に体験・経験できるはずのことができなくなったりしてしまう状況だ。
対象の家庭からは、子供が「プレゼントもケーキもいらないよ」と遠慮した、友達との話題についていこうと「プレゼントをもらった」と“うそ”をついていたといった話が届いている。また、そうした状況に、保護者は負い目を感じてしまうという。

ブックサンタはそんな子供の助けになればと、家庭と直接やり取りしている。さらに、全国の子供を支援する、NPO団体・施設などとも連携しており、その数は約300にのぼる。支援は0~18歳を対象とし、2024年は約10万人への支援を目指しているという。
「収入の制限などは設けておらず、さまざまな困難を抱える子供たちを対象に本を届けています」
きっかけは母親からの1通のメール
ブックサンタは、チャリティーサンタの「サンタ訪問活動」という活動が元になっている。これは依頼のあった家庭に、サンタに扮した人が訪問しプレゼントを届けるというもの。なお、その際に3000円の寄付金がかかる。
この活動をしている中、1通のメールが運営事務局に届いたそう。
「シングルマザーから『私はクリスマスなんて来ないでほしいと思っている』とのメールが届きました」
そもそものプレゼントを用意することが困難な、母親からの嘆きのメールだったという。
実際に当時のサンタ訪問活動の申込者を調査したところ、経済的に困窮していそうな世帯からの申し込みが非常に少ないことが分かった。
「このメールをきっかけに、『クリスマスに大変な思いをしている人もいること』を意識するようになり、そんなご家庭にフォーカスをした活動に力を入れようとなりました」

そこで「長期間大切にできて」「毎年もらっても喜べ」「全国の子供に届けられるもの」という条件でプレゼントの検討を始めた。その中で偶然、出版業界との縁もあり、2017年に「ブックサンタ」プロジェクトがスタートしたという。