増え続ける不登校。都内の中学生の13人に1人が不登校であることが分かった。原因は、学校生活に対してやる気が出ない、が最も多く、不安・抑うつなどの相談も多く寄せられている。

全国で34万人を超えた不登校の小中学生(文部科学省の調査)。東京都でも不登校は増加傾向にあり、最新の調査で小中高でいずれも過去最多を更新した。

都内の不登校児童生徒は小中高で過去最多になっている 画像はイメージ
都内の不登校児童生徒は小中高で過去最多になっている 画像はイメージ
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東京都によると、昨年度不登校となった都内の児童生徒数は、小学校で1万3275人 中学校で1万8451人、高校(定時制と私学除く)で2067人といずれも過去最多を更新した。

ここでいう「不登校」とは、年度内に30日以上登校しなかったことを指し、病気や経済的理由などのケースは除外されている。

在籍児童・生徒数に占める不登校の割合は小学校で2.21%、中学校で7.8%。ともに11年連続で増加している。中学校ではなんと13人に1人が不登校という高い割合を示した。

高校では、前年度に比べて655人増え、割合も1.2%から1.77%に上昇した。

この1つ1つの数字の裏には、居場所がなく悩んでいる児童生徒、解決方法がわからずに不安とストレスを抱え続ける保護者たちがいる。

原因1位は「やる気が出ない」

不登校の問題への対応の難しさの1つに、不登校になった児童生徒本人が、なぜ学校に行けなくなったのか、理由がわからないケースがあると言われている。原因がわからないと、救う手立てが見つけにくい。

東京都が小中学校における不登校の要因を調べた結果、もっとも多かったのは、「学校生活にやる気が出ない等」で、次いで「不安や抑うつ」「生活リズムの不調」などが原因としてあげられた。

このほかにも、親子関係、家庭生活が理由であったり、学業の不振、友人関係をめぐるトラブル、などといったケースも報告されている。

東京都教育庁は、不登校の児童生徒が増えている原因として、「保護者の学校への意識が変化し、通学だけがすべてではないという考えをもつ家庭が増えた」「新型コロナウイルスを機に登校への意欲が低下した」「フリースクールなど多様な学びに接する機会が増えた」などを挙げている。

学校復帰率は増加

一方で、不登校の児童生徒のうち、登校できるようになる学校復帰率は増加している。復帰率は小学校で34.9%、中学校で27.9%で、前年度と比べて小学校では5ポイント、中学校では6ポイント上昇した。

スクールカウンセラーの配置や、学びの多様化学校(※文科省が指定するいわゆる不登校特例校)を設置するなど、不登校の児童・生徒の居場所を確保する取り組みが復帰率の上昇につながっているとみられている。

東京都教育庁の美越英宣・指導部主任指導主事は「不登校は、とりまく環境によってどの子にも起こりえる。家にいることが心身の休養であったり、自分を見つめなおすなどの意味をもったり、エネルギーを貯める時間になることもある」と指摘する。

ある日突然、自分のこどもが不登校になる場合があるかもしれない。

自治体それぞれが独自の取り組みをしてており、都の教育庁は「個別に自治体の窓口に相談して欲しい」と話している。

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。