首相の指名選挙に向け各党の動きが活発化する中で、日に日に存在感を増すのが「国民民主党」だ。

政局の中で、玉木代表が掲げる「減税」などが実現することになるのか。

そして、関西の人たちが本当に求めていることは何なのか、取材した。

【動画】政局の鍵を握る「国民民主党」 玉木代表は公約に掲げた政策をどこまで実現できるか【青山氏解説】

■首相を選ぶ“首班指名”に向け協議 鍵握る国民民主党は「経済政策の実現がほしい」

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30日、立憲民主党の野田代表は、日本維新の会の馬場代表と会談し、“総理を選ぶ”きたる首班指名に向け協力を呼びかけた。

日本維新の会 馬場伸幸代表:『決選投票になれば、野田佳彦と書くことを、(党内で)協議してほしい』と。一応、きょう初めてお聞きしましたので、『(協議することを)承りました』という状態。

情勢が混とんとする中、鍵を握るのは、議席を一気に4倍に増やし28議席を獲得した国民民主党。

だが、立憲との党首会談を断り、また与党の自民・公明に対しても「連立入りはしない」と明言する玉木代表が、徹底して求めるものがある。

国民民主党 玉木雄一郎代表:私たちがほしいのはポストではなくて、選挙で約束した『手取りを増やす』、国民の懐を潤す経済政策の実現がほしいんですよ。

と、与野党がどこまで国民民主党の政策を受け入れられるかが焦点となっている。

■国民民主の公約「103万円の壁の撤廃」「ガソリン代の負担軽減」「消費税の5%への減税」「高校までの教育無償化」

その国民民主党が実現させたい政策が

玉木代表のXより:所得税の控除を103万円→178万円に引き上げる。

「103万円の壁」の撤廃だ。

玉木代表は「控除額が75万円分拡大すると、年収500万円なら年間13万2000円の減税効果がある」と主張。

ほかにも、トリガー条項の凍結解除によるガソリン代の負担軽減や、消費税の5パーセントへの減税、高校までの教育無償化などを公約として掲げている。

■街の人が国民民主党に期待する事「物価上がってるし稼ぎたい」 一方で「嘘やんかいっつも」

「newsランナー」では、吉原功謙キャスターが街の人の声を聞いた。

国民民主党が掲げる政策には

・年収103万円の壁・撤廃
・(ガソリン税引き下げ)トリガー条項・凍結解除
・消費税率5%へ引き下げ
・高校まで完全無償化
がある。

どこまで実現できるのか?街の皆さんが期待するものは?

40代女性:これ!今ほんまに私これやんね、103万円の壁。困ってます。どこまでの年収を稼いだら得なのか、損なのかとか、いろんなこと言ってるじゃないですか。物価も上がってるし稼ぎたい。

50代男性:トリガー(の実現)が微妙…。いってほしいけど…。(Q.ガソリンの値段高い?)高いよ、もうマスコミも言わへんようになったやん。一時ずっと言うとったけど、全然下がってへんのに、一切言わんようになった。

(Q.高校まで完全無償化について)
20代男性:無料になるってことで、教育費がグッと下がると思うんですよ。産みやすい環境になるのではないかなと思いました。

一方、こんな声も…。

(Q.もしかしたらこれが実現するかもしれない)
40代女性:ほんまかなぁ。こんなん、うそやん。うそやんかいっつも。(実現)ほとんどしてないよな。言うだけやん。

実現すれば、どれもうれしいものに見える国民民主党の政策。でも本当に実現できるのでしょうか。

■『年収103万円の壁の撤廃』「間違いなく合意できる」と青山氏

自民・公明と部分的に連携することによって、国民民主党の政策が実現する可能性がある。看板政策『年収103万円の壁の撤廃』、実現の可能性はどうなのだろうか。

永田町を知り尽くす、政治ジャーナリストの青山和弘さんに聞いた。

 政治ジャーナリスト 青山和弘さん:これは玉木さんにとっては一丁目一番地なんですね。逆に実現できないようだったら、玉木さんが自公政権に協力することはありえないので、これは多分間違いなく(自公政権が)のんでくると思います。ただ、178万円という玉木さんの主張通りなのかどうか、高額収入の人にもプラスになるあたりをどうするかなど、建て付けは変わってくるかもしれません。撤廃というか、引き上げに関しては間違いなく合意はできると思います。 

国の税収は下がることに関してはどうだろうか。 

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:試算によると8兆円ぐらいの税収に影響。そうすると消費税3%分ぐらいになるんですよ。だから財務省はかなり反対しているんですが、これぐらいやらないといけないし、玉木さんは『税収が最近増えているので、国民に還元するんだ』という主張をしています。

■『ガソリン税の軽減』自民党内で反発あるものの 実現の可能性も?

「トリガー条項凍結解除」による、ガソリン税軽減についてはどうだろうか。 

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:これはかなり自民党内で反発が強いんです。ガソリン代が高いのはその通りですが、一回軽減するともう元に戻せないと。だから補助金でなんとかしたいのが自民党の本音なんです。このあたりが大きな焦点になってくるかなと思います」。

自民と公明で以前に協議したが、決裂した。今キャスティングボードを握っているのは国民民主党だが、それでもやはり難しいのだろうか。  

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:玉木さんはいま売り手市場ですから、強気でいけるのなら、ここ(トリガー条項凍結解除でガソリン税軽減)ぐらいまでは何とかのませるんじゃないかとも思いますね。

■消費税の減税は厳しい一方、自公は真摯に対応する必要がある

最後に『消費税5%に減税』はどうだろうか。 

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:自民党内は『××(バツ2つ)』という感じです。自民党の執行部に話を聞きましたが、消費税減税については、協議が難航する姿を国民に見せて『野党が強くなるとこんなに大変なんだ、国がおかしくなる』ということを訴えて、参議院選挙につなげたいみたいな話もでている。

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:玉木さんはすぐに言わないと思うんです。来年ぐらいになって徐々に主張してくると思うんですけど、このあたりは石破政権がどこまで続くかどうかの大きな試金石というか、分水嶺になってくるかもしれません。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:国民民主はいまキャスティングボードを握っていますが、過去にトリガー条項をめぐっては、ハシゴを外された経緯もあったじゃないですか。そういう意味ではどこまで信頼して交渉していくのか疑問です。

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:以前と全く状況が違うのは、今回自民・公明は過半数をとっていません。国民民主党が『内閣不信任案を出します』と言って野党が同調すると、石破さんは退陣か総選挙をまたやらなきゃいけない。そういう状況にあることで、全く状況は違う。自民党も真摯に対応しなきゃいけないのは間違いないと思いますね。

■自公との連立政権の可能性は?責任重大な選択 カギを握る国民民主党

「部分的に連携する」と言っているが、ゆくゆくは自民・公明と連立する可能性はあるのだろうか。 

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:自民党は連立してもらった方が政権は安定するので、徐々に狙っていくんですけど、気になるのは選挙結果。国民が自民公明の連立政権を信任しなかったという結果なんですよ。その延命に手を貸す=連立はどれだけ政策がある程度実現するといっても簡単にはできない。そのあたりは国民民主党も慎重にならざるを得ないと思います。

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:例えば責任問題として小泉選対委員長が辞めるだけでよかったのか?政治とカネの問題は年収103万円の壁が撤廃されれば後回しでいいのか?こういったことも玉木さんに問われると思うので、責任は重大なんです。

まさにこれからの鍵を握る存在となっている「国民民主党」。 

(関西テレビ「newsランナー」2024年10月30日放送)

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