福祉施設の支援員からダリア農家に転身した女性が秋田・仙北市にいる。花の美しさに魅了されて就農を決意した女性は、栽培だけにとどまらず、花を介した福祉活動にも意欲を燃やしている。
ダリアの美しさに魅了されダリア農家に
花びらが幾重にも重なった色鮮やかな花「ダリア」。このダリアの栽培に取り組んでいるのが、仙北市に住む石橋鮎美さん(41)だ。
この記事の画像(10枚)大仙市出身の石橋さんは、結婚を機に夫・覚さんの実家がある仙北市に移住し、約10年、福祉施設で支援員として働いた。
ダリア農家に転身したのは5年前。ダリアの花をもらい「こういう花があるんだ」とダリアの美しさに魅了されたことが、ダリア栽培を始めるきっかけになったという。
ダリアの美しさに魅了された石橋さん。家族や地域のダリア農家の協力を受けて、まずは自宅の畑で試験栽培から始めた。
「家族はびっくりしていた。自分でも不安はあったが、やると決めてからは、就農する1年前からまず植えてみて、どんな感じかなというところから始めた」と語る。
試験栽培を経て、石橋さんは本格的にダリアを栽培することを決意し、義理の父の田んぼを借り受けて準備を進めた。新規就農者を応援する国や県の補助金を活用して設備を整え、ダリア栽培をスタート。
就農5年目の現在では、ハウス5棟と露地で合わせて約5000本のダリアを栽培するまでになった。
「NAMAHAGEダリア」含め28種類を栽培
畑の管理は、家事をこなしながら基本的には1人で行うが、夫・覚さんも会社勤めの傍らサポートしている。
品質の良いダリアを育てるため、毎日の水やりや温度管理はもちろん、花の小さな変化にも気を配る。
真ん中の花を大きく咲かせるため、両脇の芽を取る作業「芽かき」をすると、1本に栄養がいくので大きく咲くという。ただ「今の時期だと毎日のように芽が伸びてくるので、取ってあげないといけない」と栽培の大変さを話す。
1つ1つ真心込めて育てるダリア。石橋さんは、秋田生まれの品種「NAMAHAGEダリア」をはじめ、28種類のダリアを栽培している。6月から12月中旬まで毎日収穫に追われるが、その分喜びも大きいと話す。
石橋鮎美さん:
一から自分たちで苗を作って、定植して、咲かせてというふうに手をかけているので、咲いた花を手に取って喜んでもらったときは、やりがいを感じる。
ダリアは毎年新しい品種が登場していて、石橋さんは、秋田でまだ栽培されていない品種にもどんどん挑戦していきたいと意欲的だ。
農業と福祉の連携も視野に
さらに石橋さんは、地域のためにこれまでの福祉施設での経験を生かして、障害のある人と農家をつなぐ活動も視野に入れている。
「農福連携(農業と福祉の連携)。収穫や芽かきなどの作業が一緒にできればと考えている。私はまだダリアの栽培を始めて日が浅いが、品質の良いダリアを育てて、仙北市から皆さんに喜んでもらえるようなダリアを生産していきたい」と将来について語る。
畑に大きく咲き開いたダリアの花。石橋さんはダリアのように、地域の人たちに笑顔の花を咲かせていく。
(秋田テレビ)